第38回 問題93
児童・家庭福祉
事例を読んで,次の記述のうち,母親の発言を受けた乳児院のA家庭支援専門相談員のこの時点での対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
乳児院に入所中のBさんは1歳である。出産直後に児童相談所が母親の同意を得て,乳児院への入所措置となった。母親(20歳)は,生活が落ち着くまでは月1回程度の頻度であったが,ここ半年程は週1回から2週に1回の面会を重ねている。最近,母親が面会の際に,Aに向かって「児童相談所から,はじめて取り組む養育であり,現実的に仕事と子育てとの両立は大変だろうと言われた」。続けて「でも,養子縁組は考えられないし,児童養護施設への措置変更も受け入れられない。2歳の誕生日までには引き取りたい」と発言した。
- 1保育所に通わせることが,家庭引き取りの条件になることが多いので,この機会で保育所を利用するための申し込みを促した。
- 2定期的に面会に来ていることの評価を踏まえ,2歳の誕生日を目標に家族再統合に向けた取組を一緒にしてみないかと助言する。
- 3親が家庭引き取りをすることを前提とし,面会交流ができる養育里親に関して説明した。
- 4養子縁組は子どもに安定した家庭を提供する制度であることを丁寧に説明し,国や自治体が作成している資料やパンフレットなどを提供した。
- 5小規模で家庭的な児童養護施設が増えていることを話して,児童養護施設への措置変更も選択肢の一つとして考えるように話した。
答えと解説を見る
✓ これが正解2定期的に面会に来ていることの評価を踏まえ,2歳の誕生日を目標に家族再統合に向けた取組を一緒にしてみないかと助言する。
✓ これが正解3親が家庭引き取りをすることを前提とし,面会交流ができる養育里親に関して説明した。
解説
母親の引き取りの希望を受け、家族再統合の取組と養育里親の説明を行う。
事例の決め手は、母親の発言と面会の積み重ねです。母親は半年ほど週1回から2週に1回の面会を続け、養子縁組も児童養護施設への措置変更も受け入れられない、2歳の誕生日までには引き取りたいと話しています。家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)は、入所児童の早期の家庭復帰を支える職です。この場面は、母親の意向を受け止め、家庭復帰に向けた支援の方向を一緒に考え始める段階にあたります。2つ選ぶ問です。
まず、定期的に面会に来ていることを評価したうえで、2歳の誕生日を目標に家族再統合に向けた取組を一緒にしてみないかと助言する対応は、母親の努力と希望を土台にしており適切です。
次に、親が家庭引き取りをすることを前提に、面会交流ができる養育里親について説明する対応も適切です。乳児院は乳児を中心とする施設なので、年齢が上がった後の生活の場が課題になります。養育里親は、養子縁組を目的とせず、親のもとに戻ることを見込んで子どもを家庭で養育する里親です。母親が受け入れられないと話した施設への措置変更とは別の道として、引き取りまでの間も家庭的な環境と面会を保てる案になります。
母親の意向に反する方向を勧める対応や、条件を一方的に示す対応は、この時点の支援として適切ではありません。本人や家族の意向を出発点にし、それをかなえる手立てを示す記述を選ぶ、というのが見分け方です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1保育所に通わせることが,家庭引き取りの条…:保育所の利用が家庭引き取りの条件になると決めつけ、申し込みを促すのは、母親とまだ話し合ってもいない条件を一方的に示す対応です。引き取り後の生活の組み立ては、家族再統合の取組の中で一緒に検討していくものです。
- 4養子縁組は子どもに安定した家庭を提供する…:母親は養子縁組は考えられないとはっきり話しています。その直後に養子縁組の利点を説明して資料を渡すのは、母親の意向に反する方向へ誘導する対応で、引き取りたいという希望を受け止めていません。
- 5小規模で家庭的な児童養護施設が増えている…:母親は児童養護施設への措置変更も受け入れられないと話しています。小規模で家庭的な施設が増えていると話して措置変更を考えるよう求めるのは、母親の意向と逆の方向を勧めることになり、この時点の対応として適切ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題93。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)