第38回 問題92
児童・家庭福祉
事例を読んで,この時点におけるA市の子ども家庭課B職員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
アパートの大家をしているCさんからA市の子ども家庭課に相談があった。「部屋を貸している外国籍の夫婦は子どもと3人で暮らしているが,就学年齢になっても子どもを小学校に通わせている様子がない。近隣との交流も乏しい様子である。このままで良いのか」というものだった。この相談を受け,Bが通訳とともに家庭訪問を行い,子どもと父母とに対面した上で,事情を聞いたところ,子どもは年齢相応の発達状況で健康上の問題もなく,室内も清潔であることがわかり,親子のやりとりも自然で,子どもには母国の通信教育を受けさせており,母親が学習指導をしているので就学の必要はないとの応答があって,通信教育の教材も見せてくれた。なお,この夫婦と子どもはほとんど日本語が話せないことがわかった。
- 1日本国籍を有しない場合でも子どもに普通教育を受ける権利があることを説明し,近くの公立小学校への通学を勧める。
- 2学校に通学させていないことは,日本ではネグレクトになることを父母に説明し,児童相談所に送致することになると伝える。
- 3子ども家庭課について説明し,教育委員会の関係課などと情報共有をしたい旨を伝える。
- 4地域子育て支援拠点事業の対象として,子育て広場の利用を勧める。
- 5Cさんの心配を払拭するために家庭訪問したことをCさんに伝え,今後も何か気になることがあれば連絡するように依頼する。
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✓ これが正解5Cさんの心配を払拭するために家庭訪問したことをCさんに伝え,今後も何か気になることがあれば連絡するように依頼する。
解説
家庭訪問で心配がないと分かった段階なので、通報したCさんに結果を返す。
事例は、大家のCさんからの相談を受けてB職員が通訳とともに家庭訪問した後の場面です。決め手は、訪問で分かった様子です。子どもの発達や健康に問題はなく、室内は清潔で、親子のやりとりも自然でした。父母は母国の通信教育を受けさせ、母親が学習指導をしていて、その教材も見せてくれました。支援の段階でいえば、相談受付から訪問によるアセスメントを終え、虐待や養育の困難をうかがわせる事情は見当たらなかった段階です。
外国籍の子どもは、日本の公立学校で学ぶ機会が保障されていますが、日本国籍の子どもと同じ就学の義務が課されているわけではありません。この家庭は教育について自分たちで選んだ方法をとっており、B職員がこの時点で就学を強く求めたり、関係機関に情報を回したりする理由は見当たりません。
そこで最も適切なのは、相談してくれたCさんに、心配を受けて家庭訪問を行ったことを伝え、今後も気になることがあれば連絡してほしいと依頼する対応です。家庭の詳しい事情まで伝える必要はなく、訪問したという事実を返すことで、地域の見守りの協力関係を保てます。事例問題では、訪問で何が確認できたかを先に押さえ、それに見合った次の一手を選ぶことが見分け方になります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1日本国籍を有しない場合でも子どもに普通教育を受ける権利があることを説明し,近くの公立小学校への通学を勧める。:外国籍の子どもにも学ぶ機会は保障されていますが、就学の義務が課されているわけではありません。家庭は母国の通信教育という方法を選んでおり、それを確かめた段階で公立小学校への通学を勧めるのは、家庭の選択を軽く扱うことになります。
- 2学校に通学させていないことは,日本ではネグレクトになることを父母に説明し,児童相談所に送致することになると伝える。:訪問では子どもの発達・健康・生活環境に問題はなく、学習の手立ても確かめられています。通学していないことだけでネグレクトと決めつけ、児童相談所への送致を伝えるのは、確認した事実と合わない対応です。
- 3子ども家庭課について説明し,教育委員会の関係課などと情報共有をしたい旨を伝える。:訪問で支援が必要な事情は見つかっておらず、この時点で教育委員会などと情報共有する必要は乏しい状況です。日本語がほとんど通じない家庭に、理由の薄い情報共有の話を持ち出すと、かえって不安や警戒を招くおそれがあります。
- 4地域子育て支援拠点事業の対象として,子育て広場の利用を勧める。:地域子育て支援拠点事業は、主に乳幼児とその保護者が交流し相談できる場を提供する事業です。就学年齢の子どもの家庭に対し、この時点で利用を勧める必要性は事例から読み取れません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題92。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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