第38回 問題46
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,多文化共生ソーシャルワークの実践を進めるためにAコミュニティソーシャルワーカー(社会福祉士)が日本における外国人を取り巻く制度や動向について調べたことのうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
B国出身のCさん(23歳,男性)は,農業関係の第1号技能実習生として半年前から日本で働いている。ある時,D市社会福祉協議会のフードパントリーにCさんが食べ物をもらいたいと来所し,Aが話を聴いたところ,今までの時間外労働の賃金が支払われておらず,困っているということだった。Aは,Cさんの了解を得て労働局の総合労働相談窓口に同行して支援を行うとともに,多文化共生に向けたソーシャルワーク実践として,地域住民が技能実習生を取り巻く制度や動向について知ることができる勉強会を開催することとし,調査した。
- 1実習実施者に対する監督指導における主な違反事項(2023年(令和5年))として最も多かったのは,賃金の支払である。
- 2第1号技能実習生には,労働基準法が適用されない。
- 3技能実習生の国籍別構成(2023年度(令和5年度))で最も多い国籍はインドネシアである。
- 4特定技能の在留資格をもつ者は,所属機関との契約を期間途中で解除し,異なる機関と新たな雇用契約を結ぶことができない。
- 5今後,技能実習制度は育成就労制度へ移行することになっている。
答えと解説を見る
✓ これが正解5今後,技能実習制度は育成就労制度へ移行することになっている。
解説
技能実習制度は、育成就労制度へ移行することが法律で決まっています。
この事例は、フードパントリーに来た技能実習生のCさんの訴え(時間外労働の賃金が払われていない)をきっかけに、Aコミュニティソーシャルワーカーが個別の支援と並行して、地域住民向けの勉強会のために制度や動向を調べている場面です。個別支援から地域への働きかけへ広げる段階で、調べた内容が事実として正しいかが問われています。
最も適切なのは、技能実習制度が育成就労制度へ移行するという記述です。2024年(令和6年)6月21日に、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律が公布され、技能実習制度に代えて、人材の育成と確保を目的とする育成就労制度を設けることになりました。施行は一部を除き2027年(令和9年)4月1日とされています。技能実習制度は国際貢献を目的に掲げながら、実際には人手不足を補う役割を担ってきたという指摘があり、本人の意向による転籍の扱いなども見直されます。
また、事例のCさんのように賃金の未払いに悩む実習生は、日本の労働者として労働関係の法律で守られる立場にあります。制度が移る途中でも、働く人としての権利を守る視点は変わらない、と押さえておくと周辺の記述も見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1実習実施者に対する監督指導における主な違反事項(2023年(令和5年))として最も多かったのは,賃金の支払である。:厚生労働省が公表した令和5年の監督指導の結果では、主な違反事項の最多は使用する機械等の安全基準に関するもので、割増賃金の支払がそれに続きました。賃金の支払が最も多かったわけではありません。
- 2第1号技能実習生には,労働基準法が適用されない。:技能実習生は実習実施者と雇用関係を結んで働くため、第1号の段階でも労働者として労働基準法などの労働関係法令が適用されます。適用されないという点が誤りです。
- 3技能実習生の国籍別構成(2023年度(令和5年度))で最も多い国籍はインドネシアである。:技能実習生の国籍別の構成では、ベトナムが最も多く、インドネシアやフィリピンなどがそれに続いています。インドネシアが最多という記述は実際の構成と合いません。
- 4特定技能の在留資格をもつ者は,所属機関との契約を期間途中で解除し,異なる機関と新たな雇用契約を結ぶことができない。:特定技能の在留資格は、同じ分野の中であれば所属機関を変えて働くこと(転職)が認められています。期間途中で別の機関と新たに雇用契約を結べないという点が誤りです。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題46。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)