第37回 問題73
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,この時点でAさんを担当する若年性認知症支援コーディネーターが行った支援に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
総合商社に勤務するAさん(44歳)は,半年前から商品の発注ミスや大事な商談の約束を忘れてしまうことが度々あり,B上司と産業医の勧めにより認知症疾患医療センターを受診し,若年性アルツハイマー型認知症と診断された。先日,B上司から,若年性認知症支援コーディネーターに電話相談があった。「Aさんから,認知症だと診断されたと報告を受けた。実は,責任のある仕事を一人で任せることも難しくなった。Aさんが自信なさそうに仕事をしており,時折,休むようになった。落ち込んでいる様子もあり,周りの社員も戸惑っている。私も社員も認知症のことがよくわからないので,今後どのように対応してあげたらよいのか正直わからずに困っている」とのことだった。
- 1Aさんの仕事のミスがなくなるように,諦めずに教えてあげてください。
- 2Aさんの意向を聴いて,仕事のサポート体制の構築を検討してください。
- 3Aさんの家族にはAさんの自尊心を尊重して今の社内での様子を伝えないようにしてください。
- 4Aさんの短期記憶を活用できる業務への配置転換を検討してください。
- 5認知症の理解を進めるために認知症の学習会を実施する場合は,ご相談ください。
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✓ これが正解2Aさんの意向を聴いて,仕事のサポート体制の構築を検討してください。
✓ これが正解5認知症の理解を進めるために認知症の学習会を実施する場合は,ご相談ください。
解説
本人の意向を聴いたサポート体制づくりと、認知症の学習会の提案が適切です。
2つ選ぶ問です。若年性認知症支援コーディネーターは、都道府県などに配置され、若年性認知症の人やその家族、職場からの相談に応じ、就労の継続や社会参加、医療・福祉・雇用の関係機関との調整を支える役割を担います。場面は、Aさんの上司であるBからの電話相談で、職場の困りごとを受け止めて支援の方向を示す初期の段階です。決め手は、Aさんが自信をなくして休みがちになり落ち込んでいること、上司も社員も認知症のことがよくわからず、どう対応すればよいか困っているというBの言葉です。
適切な一つ目は、Aさんの意向を聴いて、仕事のサポート体制の構築を検討してくださいという助言です。Aさんがどう働き続けたいかを確かめ、本人の思いを中心に職場の支え方を考えることは、就労継続の支援の基本です。適切な二つ目は、認知症の理解を進めるために学習会を実施する場合は相談してくださいという助言です。上司も社員も認知症をよく知らないことが職場の戸惑いの原因になっているので、職場の理解を深める働きかけは、Aさんが働きやすい環境づくりにつながります。
見分け方は、本人の意向を中心に置くこと、周囲の理解を進めて環境を整えることの2つに沿う助言を選び、本人の能力に合わない負担を求める助言や、本人や家族を情報から遠ざける助言を外すことです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの仕事のミスがなくなるように,諦めずに教えてあげてください。:アルツハイマー型認知症では記憶の障害などがあるため、教え込んでもミスを完全になくすことは難しいと考えられます。諦めずに教えるよう求めるのは本人にも上司にも負担が大きく、本人の自信をさらに失わせるおそれがあります。
- 3Aさんの家族にはAさんの自尊心を尊重して今の社内での様子を伝えないようにしてください。:Aさんの社内での様子を家族に伝えないよう求めるのは、家族と職場が情報を共有して本人を支える機会を失わせます。伝え方には本人の意向への配慮が必要ですが、伝えないことを前提にする助言は適切ではありません。
- 4Aさんの短期記憶を活用できる業務への配置転換を検討してください。:アルツハイマー型認知症では、新しいことを覚えておく短期記憶が初期から障害されやすいとされます。短期記憶を生かす業務への配置転換は、本人の苦手な部分に頼ることになり、配慮の方向が逆です。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題73。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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