第36回 問題146
貧困に対する支援
事例を読んで,公共職業安定所(ハローワーク)の職員が行う対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
民間企業で10年間働いてきたHさん(33歳)は,新たな職務に強いストレスを感じるようになり,出勤できなくなった。医師からうつ病との診断を受け,6か月間休職したが,症状が改善せず退職した。退職から1年が経ち,まだ,うつの症状は残っており,就業面,生活面での不安を感じるものの,金銭面の問題から,とにかく働かなければならないと焦りを感じ,公共職業安定所(ハローワーク)を訪問した。
- 1一般就労の経験があるHさんは,問題なく一般就労が可能であると判断し,一般企業からの求人情報を提供する。
- 2Hさんの希望は就職であることから,適応訓練についてはあっせんしない。
- 3Hさんの確実な就職のため,一般企業ではなく特例子会社の求人を紹介する。
- 4本人の了解を得て,障害者就業・生活支援センターを紹介するなど関係機関と連携する。
- 5一般就労には週の所定労働時間が20時間以上であることが求められる旨を説明する。
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✓ これが正解4本人の了解を得て,障害者就業・生活支援センターを紹介するなど関係機関と連携する。
解説
本人の了解を得て障害者就業・生活支援センターなど関係機関と連携します。
この事例の決め手は、Hさんがうつ病と診断され、退職から1年たっても症状が残っていること、就業面と生活面の両方に不安を感じていること、そして金銭面の事情から、とにかく働かなければと焦っていることです。支援の段階でいえば、ハローワークの窓口で相談を受け、状況を把握しながら支援の方向を考えるインテークからアセスメントの段階にあたります。
障害者就業・生活支援センターは、障害のある人の身近な地域で、就業面の支援と生活面の支援を一体的に行う機関です。職場探しや職場への定着の支援に加えて、生活のリズムや体調管理、金銭管理などの相談にも応じ、医療機関や福祉サービスとの調整も担います。就業と生活の両方に不安を抱え、症状も残っているHさんには、ハローワークの職業紹介だけでなく、こうした機関と連携した支援が必要です。そのうえで、本人の了解を得てからつなぐことは、Hさんの意思を尊重し、個人情報を適切に扱うためにも欠かせません。したがって、本人の了解を得て障害者就業・生活支援センターを紹介するなど関係機関と連携する対応が最も適切です。
焦りを抱えた人の就職相談では、すぐに求人を示すことより、本人の状態と不安の全体を見立て、必要な機関と連携して支える対応を選ぶと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1一般就労の経験があるHさんは,問題なく一般就労が可能であると判断し,一般企業からの求人情報を提供する。:以前に10年働いた経験があっても、Hさんには今もうつの症状が残り、就業と生活の両面に不安を抱えています。経験だけを根拠に問題なく働けると判断するのは、状態の見立てを欠いています。
- 2Hさんの希望は就職であることから,適応訓練についてはあっせんしない。:適応訓練は、実際の職場で作業に慣れながら就職を目指す仕組みで、就職を望む人にとっても有力な選択肢になり得ます。希望が就職だからとはじめから選択肢を外すのは不適切です。
- 3Hさんの確実な就職のため,一般企業ではなく特例子会社の求人を紹介する。:特例子会社の求人に絞るのは、Hさんの希望や状態を確かめないまま選択肢を狭める対応です。確実に就職できるという見込みにも根拠がなく、本人の意思を尊重していません。
- 5一般就労には週の所定労働時間が20時間以上であることが求められる旨を説明する。:週の所定労働時間20時間は、雇用保険の加入や障害者雇用率の算定などで使われる目安で、一般就労そのものの条件ではありません。誤った説明でHさんの焦りを強めかねません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題146。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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