第36回 問題79
権利擁護を支える法制度
遺言に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1成年被後見人は,事理弁識能力が一時回復した時であっても遺言をすることができない。
- 2自筆証書遺言を発見した相続人は,家庭裁判所の検認を請求しなければならない。
- 3公正証書によって遺言をするには,遺言者がその全文を自書しなければならない。
- 4自筆証書によって遺言をするには,証人2人以上の立会いがなければならない。
- 5遺言に相続人の遺留分を侵害する内容がある場合は,その相続人の請求によって遺言自体が無効となる。
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✓ これが正解2自筆証書遺言を発見した相続人は,家庭裁判所の検認を請求しなければならない。
解説
自筆証書遺言を見つけた相続人は家庭裁判所に検認を請求します。
この問は、民法の遺言の方式(第967条以下)と検認(第1004条)で判断します。検認とは、家庭裁判所が遺言書の形や状態を確かめて記録し、偽造や変造を防ぐ手続です。第1004条は、遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならず、保管者がいない場合に相続人が遺言書を発見したときも同じとしています。公正証書による遺言には検認の規定は適用されません。
自筆証書遺言は公証人が関わらず本人が書くものなので、発見した相続人が検認を請求する対象になります(なお、法務局の遺言書保管制度で保管された自筆証書遺言は検認が要らない扱いです)。したがって、自筆証書遺言を発見した相続人は家庭裁判所の検認を請求しなければならない、という記述が適切です。
ほかの記述は、成年被後見人の遺言、公正証書遺言と自筆証書遺言の方式、遺留分の効果について、それぞれ条文の中身と食い違っています。覚え方は、自筆証書は自分で全文を書き証人不要・死後に検認、公正証書は公証人が作り証人2人・検認不要、と2つを対にして整理することです。
なお、2026年6月に民法等の一部を改正する法律が公布され、自筆証書遺言の押印を任意とすることは公布から1年以内に、電子データ等で作成して法務局で保管する保管証書遺言の創設は公布から3年以内に、それぞれ政令で定める日に施行される予定です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1成年被後見人は,事理弁識能力が一時回復した時であっても遺言をすることができない。:成年被後見人でも、事理を弁識する能力を一時回復した時には遺言をすることができます。その場合は医師2人以上の立会いが必要と民法第973条が定めているので、できないとする記述は誤りです。
- 3公正証書によって遺言をするには,遺言者がその全文を自書しなければならない。:公正証書遺言は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に伝え、公証人が作成し、証人2人以上が立ち会う方式です。遺言者が全文を自書する必要があるのは自筆証書遺言のほうです。
- 4自筆証書によって遺言をするには,証人2人以上の立会いがなければならない。:自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書して押印する方式で、証人の立会いは求められていません。証人2人以上の立会いが必要なのは公正証書遺言などの方式です。
- 5遺言に相続人の遺留分を侵害する内容がある場合は,その相続人の請求によって遺言自体が無効となる。:遺留分を侵害する遺言も無効にはなりません。遺留分を侵害された相続人は、侵害額に相当する金銭の支払いを請求できるだけで、遺言そのものの効力は保たれます。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題79。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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