第36回 問題62
障害者福祉
事例を読んで,M相談支援専門員(社会福祉士)がこの段階で行う支援として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
軽度の知的障害があるAさん(22歳)は,両親と実家で暮らしている。特別支援学校高等部を卒業後,地元企業に就職したが職場に馴染めず3か月で辞めてしまい,その後,自宅に引きこもっている。最近,Aさんは学校時代の友人が就労継続支援B型を利用していると聞き,福祉的就労に関心を持ち始めた。Aさんと両親は,市の相談窓口で紹介されたW基幹相談支援事業所に行き,今後についてM相談支援専門員に相談した。
- 1友人と自分を比べると焦りが生じるため,自身の将来に集中するように助言する。
- 2一般企業で働いた経験があるので,再度,一般就労を目指すよう励ます。
- 3地域にある就労継続支援B型の体験利用をすぐに申し込むよう促す。
- 4Aさん自身がどのような形の就労を望んでいるかAさんの話を十分に聞く。
- 5Aさんの日常生活の状況や就労の希望について,両親にも確認する。
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✓ これが正解4Aさん自身がどのような形の就労を望んでいるかAさんの話を十分に聞く。
✓ これが正解5Aさんの日常生活の状況や就労の希望について,両親にも確認する。
解説
Aさん本人の就労の希望を十分に聞き、両親にも生活状況と希望を確かめます。
2つ選ぶ問です。場面は、Aさんと両親が初めて基幹相談支援事業所を訪れた、インテーク(初回の受付面接)からアセスメント(情報を集めて状況を見立てること)に入る段階です。決め手は、Aさんが友人の話をきっかけに福祉的就労に関心を持ち始めたばかりで、具体的な方向はまだ決まっていないことです。この段階で相談支援専門員がまず行うのは、結論を急がずに、本人の思いを中心に置いて情報を集めることです。
Aさん自身がどのような形の就労を望んでいるかを、Aさんの話を十分に聞いて確かめることは、本人中心の支援と自己決定の尊重という基本に沿った対応です。前の職場で何がつらかったのか、どんな働き方なら続けられそうかなども、本人の言葉で語ってもらうことが大切です。また、引きこもっている間の生活リズムや家での様子は、一緒に暮らす両親からも情報を得ることで、より多面的に把握できます。本人と家族の希望の違いを知っておくことも、後の支援計画づくりに役立ちます。
覚え方として、初回の相談では助言や励まし、すぐの申込みよりも、本人の話を聴き、家族など周囲からも情報を集めることを優先する、と押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1友人と自分を比べると焦りが生じるため,自身の将来に集中するように助言する。:友人の話はAさんが福祉的就労に関心を持つきっかけになっています。比べると焦るからと話題を遠ざける助言は、本人が語り始めた関心を摘んでしまい、思いを聴く前の一方的な指示になります。
- 2一般企業で働いた経験があるので,再度,一般就労を目指すよう励ます。:前の職場には馴染めずに3か月で辞めた経験があり、本人は今、福祉的就労に関心を向けています。一般就労を再び目指すよう励ますのは、本人の意向を確かめないまま方向を決めてしまう対応です。
- 3地域にある就労継続支援B型の体験利用をすぐに申し込むよう促す。:体験利用はいずれ役立つ選択肢になり得ますが、本人の希望や暮らしの状況をまだ把握していない段階です。すぐに申し込むよう促すのは、アセスメントを飛ばして結論を急ぐ対応です。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題62。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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