第27回 問題28
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
地域活動支援センターで精神保健福祉士の実習を行っている学生Aさんは,利用者Bさんとの関係形成を進めている。Bさんから「友人ができなくて寂しい」と聞き,自分もそのような経験があって悩んだことを自己開示した。その日の実習を終え,帰り支度をしていると,Bさんから声を掛けられ「私と似たような経験をしているAさんなら,私のことを分かってくれる。友達になってほしい」と言われた。AさんはBさんから信頼されているのだと思い「実習中ならいいですよ」と答えた。次の日,Bさんから「今日から友達ね」と声を掛けられた。Aさんは昨日の対応で良かったのか心配になり,実習指導者のC精神保健福祉士に相談すると「専門的援助関係について,改めて考えていきましょう」と指導を受けた。
次のうち,C精神保健福祉士がAさんに指導した内容として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1パターナリズム
- 2非審判的態度
- 3バウンダリー
- 4ナチュラルサポート
- 5役割拘束
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✓ これが正解3バウンダリー
解説
援助者と利用者の関係の境界線、すなわちバウンダリーを指導しました。
この事例の決め手は、実習生のAさんが、利用者のBさんから友達になってほしいと言われて、実習中ならいいですよと答え、翌日Bさんから今日から友達ねと声を掛けられた点です。実習指導者のC精神保健福祉士は、専門的援助関係について改めて考えようと指導しました。
バウンダリーは、援助者と利用者の間に引かれるべき関係の境界線のことです。専門的援助関係は、利用者の利益のために、目的と期間をもって結ばれる職業上の関係で、友人関係や私的な関係とは区別されます。援助者が私的な関係に踏み込むと、利用者が援助者に過度に頼ってしまったり、実習や援助が終わったときに見捨てられたと感じたりして、かえって利用者を傷つけるおそれがあります。
Aさんの自己開示そのものは、関係づくりのために役立つこともありますが、その結果として友達という私的な関係を約束してしまった点が、境界線を越えた対応でした。C精神保健福祉士は、援助関係の目的と限界をAさんと振り返り、Bさんへの伝え方を一緒に考えることになると考えられます。
見分け方は、援助者が私的な関係に入りかけている場面なら、境界線の問題としてバウンダリーを考えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1パターナリズム:パターナリズムは、援助者が本人のためと考えて、本人の意思にかかわらず物事を決めてしまう態度を指します。Aさんの問題は私的な友人関係を約束したことで、本人の決定を奪ったことではありません。
- 2非審判的態度:非審判的態度は、利用者の言動を援助者の価値観で善い悪いと裁かずに受け止める姿勢です。Aさんが友達になることを引き受けた場面の課題を表す言葉ではありません。
- 4ナチュラルサポート:ナチュラルサポートは、職場の同僚や近所の人など、専門職以外の身近な人による自然な支えを指します。実習生と利用者の関係のあり方を問う指導の内容には当たりません。
- 5役割拘束:役割拘束は、決まった役割に縛られて自由に動けなくなる状態を指す言葉です。援助関係と私的な関係の境目を考えるという、この場面の指導の中身とは合いません。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題28。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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