経営戦略|令和2年度 10月 ITパスポート試験(特別措置試験) 問26
全国に複数の支社をもつ大企業のA社は,大規模災害によって本社建物の全壊を想定したBCPを立案した。BCPの目的に照らし,A社のBCPとして,最も適切なものはどれか。
- 被災後に発生する火事による被害を防ぐために,カーテンなどの燃えやすいものを防炎品に取り替え,定期的な防火設備の点検を計画する。
- 被災時に本社からの指示に対して迅速に対応するために,全支社の業務を停止して,本社から指示があるまで全社員を待機させる手順を整備する。
- ✓ これが正解被災時にも事業を継続するために,本社機能を代替する支社を規定し,限られた状況で対応すべき重要な業務に絞り,その業務の実施手順を整備する。
- 毎年の予算に本社建物への保険料を組み込み,被災前の本社建物と同規模の建物への移転に備える。
解説
BCPは、限られた状況の中で重要な業務を続ける段取りです。
BCPは、事業継続計画とも呼ばれ、大きな災害などで平常どおりに動けなくなったときでも、事業を止めない、あるいは早く立て直すための段取りを定めておくものです。大事なのは、起きないようにする備えではなく、起きた後にどう続けるかを決めておく点にあります。本社の建物が全壊するという想定であれば、本社の役目を引き受ける支社をあらかじめ決めておき、限られた人と設備で何を優先するのかを絞り込み、その業務をどう回すのかまで手順にしておく必要があります。全社を止めて指示を待つのでは、指示を出す拠点が失われた時点で動けなくなります。燃えにくい品への取り替えや保険の手当ても大切ですが、続けるための段取りとは別の備えです。よって最も適切なのは、代替する支社を定めて重要業務の手順を整えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 燃えやすいものを防炎の品に取り替え、設備を点検するという備えは、被害そのものを小さくするための取り組みです。大切な備えではありますが、止まった後に事業をどう続けるかという段取りではありません。防ぐための備えと、続けるための段取りは別です。
- 全支社の業務を止めて、本社からの指示があるまで待たせるという手順は、本社が失われるという想定と噛み合いません。指示の出どころが無くなった時点で、会社全体が止まってしまいます。待つ相手が失われるという想定です。
- 保険料を毎年の予算に組み込み、同じ規模の建物への移転に備えるという手当ては、損失の負担を他へ移すリスク移転にあたります。お金の手当てであって、業務を続けるための段取りではありません。お金だけでは業務が動きません。
この問題に関係する言葉
- BCP事業継続計画のこと。災害やシステム障害が起きても重要業務を続けるために、平時のうちに決めておく行動計画を指します。
- 事業継続計画予期せぬ事態でも重要な業務を続けられるよう、事前に決めておく行動計画。全業務を同じ水準で守るのではなく、優先順位をつけて策定します。
- リスク移転リスクによる損失の負担を、保険や契約で他者と分け合う対応。リスクそのものが消えるわけではなく、負担する相手が変わります。
出典:令和2年度 10月 ITパスポート試験(特別措置試験) 問26
同じ単元をまとめて解くなら経営戦略へ。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)