第112回 午前 問53
個人・家族・集団・組織の支援
コミュニティエンパワメントの問題
次の文を読み51~53の問いに答えよ。
A市の国民健康保険を担当する保健師は、加入者の平均年齢が上昇していることを把握したため、データヘルス計画を見直すこととした。
A市は人口15万人で、高齢化率が高く、中小企業が多い。市外へ転出する者が多く、市の基本構想において「経済発展」と「暮らしの安心」という重点戦略を設定している。データヘルス計画とあわせて健康増進計画も見直すこととし、A市の基本構想をふまえて整理することとなった。
A市のB地区担当保健師は、B地区の健康づくり計画を策定することとした。健康づくり計画を策定するにあたり、地域の住民や民生委員などが集まり、健康診査受診率の向上について重点的に検討する会議を開催することとなった。会議では「健診は大切」という意見があった一方、一部の人から「仕事が忙しくて健診に行けない」「健診を受けなくても元気な人がいる」「病気になったら病院を受診して治療をすればよい」等の意見もあった。会議でB地区担当保健師がコミュニティエンパワメントを促す支援として最も適切なのはどれか。
- 1健康診査の制度について説明する。
- 2健康診査の実施時期について要望を聞く。
- 3健康診査を受診せず疾病が重症化し失業した事例を紹介する。
- 4健康診査を受診することについてどのような認識があるか参加者にさらに発言を促す。
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✓ これが正解4健康診査を受診することについてどのような認識があるか参加者にさらに発言を促す。
解説
参加者に健診への認識をさらに語ってもらい、主体的な検討を促します。
コミュニティエンパワメントとは、地域の住民が自分たちの健康課題に気づき、話し合い、解決に向けて自ら行動する力を高めていく過程です。保健師は答えを示すのではなく、住民同士が考えを出し合い、課題を自分たちのものとして捉えられるよう、話し合いを支える役割を担います。
会議では、健診は大切という意見の一方で、仕事が忙しい、受けなくても元気な人がいる、病気になったら治療すればよい、などの意見が出ています。こうした多様な認識を参加者がさらに語り合うことで、地域の中にある健診への考え方や受診を妨げている理由が見えてきます。住民自身がそれに気づき、どうすれば受診しやすくなるかを考えることが、地域の力を高める出発点になります。制度の説明や重症化した事例の紹介は、保健師から住民への一方向の情報提供で、実施時期への要望を聞くのも保健師が対応を決める流れになりやすいものです。
したがって、健康診査の受診についての認識を参加者にさらに発言してもらうことが最も適切です。エンパワメントの支援では、保健師が答えを出すより、住民の発言を引き出して話し合いを深める、と覚えておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1健康診査の制度について説明する。:健康診査の制度を説明することは知識の提供にはなりますが、保健師から住民への一方向の働きかけです。住民同士が自分たちの課題として考える力を育てる支援にはなりにくい内容です。
- 2健康診査の実施時期について要望を聞く。:実施時期への要望を聞くと、保健師が受け止めて対応を考える形になりやすく、住民が主体となって課題を話し合う流れになりません。受診しない理由の背景にある認識にも迫れません。
- 3健康診査を受診せず疾病が重症化し失業した事例を紹介する。:受診せずに重症化して失業した事例は、不安に訴えて受診を促す方法です。住民の考えを引き出す話し合いにはならず、異なる意見を持つ人がかえって発言しにくくなるおそれがあります。
出典:第112回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問53(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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