第110回 午前 問54
個人・家族・集団・組織の支援
緊急度に関する問題
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(85歳、男性)は息子(50歳)と2人暮らしで、介護保険サービスを利用していない。民生委員から市役所の保健師に「Aさんが最近痩せてきて、着替えもできていない様子。ここ数日見かけない。息子はたまにアルバイトをしているがほとんどAさんの年金で生活をしている」と相談があった。
保健師が民生委員と一緒に自宅を訪問すると、Aさんはごみが散乱している居間に寝ていた。息子は「父親の夕食は自分が弁当を買ってきている。朝食や昼食は夕食の弁当の残りを食べている」と言う。Aさんは失禁がみられ、数週間入浴もしていないようであった。この事例への対応の緊急度を判断するための情報で最も重要なのはどれか。
- 1Aさんの年金額
- 2別居家族の有無
- 3息子の健康状態
- 4Aさんの栄養状態
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✓ これが正解4Aさんの栄養状態
解説
痩せや失禁があり、命の危険を判断するには栄養状態が最も重要です。
Aさんは85歳で、息子と2人で暮らし、介護保険サービスを利用していません。最近痩せてきて、着替えもできず、ごみが散乱した居間に寝ており、失禁があり、数週間入浴していない様子です。食事は息子が買う弁当の残りで済ませています。この状況は、介護の放棄(ネグレクト)による高齢者虐待が疑われる場面です。
緊急度は、Aさんの生命や身体に重大な危険が生じているかどうかで判断します。痩せが進み、食事も十分にとれていない可能性があるため、低栄養や脱水が進んでいれば命に関わる状態にあるおそれがあります。高齢者虐待防止法第9条第2項も、生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者について、一時的な保護などの措置を講じることを市町村に求めています。今すぐの介入が必要かどうかを見極める情報として、Aさんの栄養状態が最も重要です。
Aさんの年金額は経済的虐待の有無を考える手がかりにはなりますが、命の危険の判断には直結しません。別居家族の有無や息子の健康状態は、今後の支援体制を考えるうえで必要な情報ですが、Aさんの生命の危険の大きさを判断する情報ではありません。
虐待が疑われる場面での緊急度の判断は、まず本人の生命・身体の危険を示す情報から確かめる、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの年金額:年金額は、息子がAさんのお金をどう使っているかという経済的な面を考える手がかりにはなります。しかし、Aさんの体に今どれだけ危険が迫っているかを判断する情報ではありません。
- 2別居家族の有無:別居している家族がいるかどうかは、今後の協力者や支援の体制を考えるときに確認したい情報です。今すぐ保護が必要かという緊急度の判断の決め手にはなりません。
- 3息子の健康状態:息子の健康状態は、介護を担う力や息子自身への支援の必要性を考えるうえで大切です。ただし、優先して確かめるべきなのは、危険にさらされているAさん本人の状態です。
出典:第110回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問54(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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