第111回 午後 問55
保健医療福祉行政論
医療計画に関する問題
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aちゃん(2か月、女児)は18トリソミーと診断を受け大学病院に入院している。体調が安定してきたため、B町の自宅で療養を行う予定である。Aちゃんの両親は入院している大学病院の看護師から経管栄養と吸引の手技を教わり、在宅療養の準備にとりかかっている。
Aちゃんの円滑な在宅への移行を目的に、大学病院において関係職種による退院前カンファレンスが開催されることとなった。大学病院からは主治医と看護師、病院のソーシャルワーカー、病院外からは訪問看護師、保健所保健師、B町保健師が出席する予定である。
退院後、Aちゃんは訪問看護を週3回利用し、大学病院には月1回、自家用車で1時間半をかけて通院している。退院後6か月、B町で感染症が流行し訪問看護ステーションの勤務可能な看護師が少なくなり、Aちゃんの訪問看護は一時的に回数が減少した。B町周辺には小児を受け入れる訪問看護ステーションがない。B町やB町以外の地域から「障害児が安心して在宅療養ができる支援体制を構築してほしい」という要望が、C県に寄せられ地域課題となっている。県の医療政策および障害福祉を担当する関係機関が医療計画の見直しに向けて検討することになった。検討する内容で優先度が高いのはどれか。
- 1育児ボランティアの養成
- 2保育所における看護師の充実
- 3小児救命救急センターの新たな開設
- 4小児の訪問看護を行う看護師の育成
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✓ これが正解4小児の訪問看護を行う看護師の育成
解説
小児の訪問看護の担い手不足には、訪問看護師の育成を検討します。
医療計画は、医療法に基づいて都道府県が定める計画で、主な疾病や事業ごとの医療提供体制や、在宅医療の体制の確保の方策を定めます。小児医療や在宅医療も計画の項目で、医療的ケアを必要とする子どもが地域で療養できる体制づくりも課題の一つです。
状況からは、B町の周辺に小児を受け入れる訪問看護ステーションがなく、感染症が流行すると勤務できる看護師が減って訪問の回数が保てないこと、ほかの地域からも障害児が安心して在宅療養できる体制を求める声があることが分かります。課題の中心は、小児の在宅療養を支える訪問看護の担い手が地域に足りないことです。県が医療計画の見直しで検討する内容として、小児の訪問看護を行う看護師の育成が優先されます。ほかの肢は、医療的ケアを担えない担い手の養成、通所の場での体制、救急の施設の整備で、在宅療養を支える訪問看護の不足には直接応えていません。
地域課題を医療計画で扱う問では、状況の中で何が不足しているかを特定し、その不足を直接補う施策を選ぶ、と覚えておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1育児ボランティアの養成:育児ボランティアは子育ての手助けとして役立ちますが、経管栄養や吸引などの医療的ケアを担うことはできません。小児の訪問看護が足りないという医療提供体制の課題を補う施策にはなりません。
- 2保育所における看護師の充実:保育所に看護師を充実させることは、医療的ケア児が保育所に通う場面の支援です。自宅で療養する障害児の訪問看護が不足しているという、この地域の課題に直接応えるものではありません。
- 3小児救命救急センターの新たな開設:小児救命救急センターは、重い救急の状態にある子どもを受け入れる施設です。日常の在宅療養を支える訪問看護の不足とは役割が異なり、新たに開設しても今の課題は解決しません。
出典:第111回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問55(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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