平成31年度 春期 午前Ⅱ 問4
内部統制
内部統制に関する問題
財務処理に係るクラウドサービスを委託している場合に委託元会社が入手することのある,日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会実務指針第86号“受託業務に係る内部統制の保証報告書(平成23年)”に基づいて作成される文書と作成者の適切な組合せはどれか。ここで,受託業務の一部については再委託が行われており,除外方式を採用しているものとする。
選択肢は原典では保証報告書・システムに関する記述書・受託会社確認書の表。
- ア保証報告書:監査人 / システムに関する記述書:監査人 / 受託会社確認書:監査人
- イ保証報告書:監査人 / システムに関する記述書:被監査会社(受託会社) / 受託会社確認書:再受託会社
- ウ保証報告書:監査人 / システムに関する記述書:被監査会社(受託会社) / 受託会社確認書:被監査会社(受託会社)
- エ保証報告書:被監査会社(受託会社) / システムに関する記述書:監査人 / 受託会社確認書:再受託会社
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✓ これが正解ウ保証報告書:監査人 / システムに関する記述書:被監査会社(受託会社) / 受託会社確認書:被監査会社(受託会社)
解説
記述書と確認書は受託会社が作り、保証報告書を監査人が作ります。
見分ける軸は、誰が自社の内部統制を説明し、誰がそれを保証するかという役割分担です。実務指針第86号の枠組みでは、受託会社が自らの業務と内部統制をまとめたシステムに関する記述書を作り、その記述が適正であることを経営者として表明する受託会社確認書も受託会社が作ります。監査人は、その記述書について独立した立場から意見を述べる保証報告書を作成します。この問では除外方式を採用しているので、再委託先の業務は記述書と保証の範囲から外れ、再受託会社が確認書を出す場面はありません。説明するのは受託会社、保証するのは監査人という二つの立場を押さえると、組合せを崩した選択肢を見抜けます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア保証報告書:監査人 / システムに関する…:三つの文書をすべて監査人が作る組合せです。監査人が記述書や確認書まで自ら書くと、保証の対象を保証する側が作ることになり、受託会社の説明を第三者が確かめるという保証の構造が成り立ちません。
- イ保証報告書:監査人 / システムに関する…:受託会社確認書を再受託会社が作る組合せです。この問は除外方式を採っているので、再委託先の業務は記述書と保証の範囲に含まれていません。範囲の外にいる再受託会社が確認書を出すという前提は、条件と合いません。
- エ保証報告書:被監査会社(受託会社) / …:保証報告書を受託会社が作り、記述書を監査人が作る組合せで、役割が逆になっています。自社の内部統制を書き表すのは受託会社であり、その記述に意見を述べる報告書を出すのが監査人です。
この問題の用語
- 内部統制不正やミスを防ぐため、承認や記録、点検といった手続きを業務そのものに組み込んでおく社内の仕組み。整備と運用の最終責任は経営者が負います。
- クラウドサービス自社で設備を持たず、事業者が用意したものをネットワーク越しに借りて使う形。借りる範囲によって、SaaS、PaaS、IaaSなどに分かれます。
- 会計お金の動きを記録し、まとめて報告する仕事のことをいいます。在庫の評価のしかたなど、決められた方法に従って計算します。
- 監査人システム監査を行う人。作る側や運用する側から独立した立場を保ち、自分では作らずに規程や記録を見て確かめます。
出典:平成31年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問4
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