令和2年度 10月 午前 問80
法務
偽装請負とされる事象
A 社は B 社に対して業務システムの開発を委託し,A 社と B 社は請負契約を結んでいる。作業の実態から,偽装請負とされる事象はどれか。
- アA 社の従業員が,B 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
- イA 社の従業員が,B 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
- ウB 社の従業員が,A 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
- エB 社の従業員が,A 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
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✓ これが正解ウB 社の従業員が,A 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
解説
受託側の従業員を発注側が直に指揮している場面です。
偽装請負は、契約の書面の上では請負でありながら、実際の働かせ方の中身が労働者派遣になってしまっている状態を指します。ですからこの問いを解くときは、書面の名前ではなく、二つの点を実態で見分けます。作業を担う人がどちらの会社の従業員か、そしてその人が誰の指揮命令を受けて働いているかの二点です。請負では、受託側の会社が自社の従業員を自ら指揮して仕事を進め、発注側には成果物で応えるのが本来の姿です。設問の四つの場面のなかで、受託側の従業員が働いているにもかかわらず、その人が発注側の責任者から直に指示を受けて設計書を作っている場面は、指揮命令の系統が本来の請負の姿から外れており、実態は労働者派遣になっています。ですからこの場面が、契約の名は請負でありながら中身が派遣に変わってしまっている状態、すなわち設問の求める偽装請負に当たります。ほかの場面は、いずれも発注者と受託者の間の契約の話とはずれた自社内の指揮、あるいは受託側の従業員に受託側の責任者が指揮する本来の請負の姿を述べており、偽装の関係を作っていません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- アA 社の従業員が,B 社を作業場所として…:A 社の従業員が、B 社を作業場所として、A 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っていると書かれています。作業する人と指揮する人の会社が同じで、A 社の中で完結する話にとどまっており、B 社への委託の契約の中身を問う場面ではありません。
- イA 社の従業員が,B 社を作業場所として…:A 社の従業員が、B 社を作業場所として、B 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っていると書かれています。A 社が自社の従業員を B 社の指揮下に置く形で、A 社と B 社の請負契約の中身の話とは別の、派遣や出向の性質を問う場面です。
- エB 社の従業員が,A 社を作業場所として…:B 社の従業員が、A 社を作業場所として、B 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成していると書かれています。受託側の会社が自社の従業員を自ら指揮し、発注側には成果物で応えるという請負の本来の姿そのもので、偽装の関係ではありません。
この問題の用語
- 請負契約仕事の完成を約束して引き受ける契約のこと。作業の遂行だけを約束する準委任契約と違い、成果物を完成させる義務を負います。
- 指揮命令働く人に仕事の内容や進め方を直接指示する関係のことです。派遣では派遣先が行いますが、請負では発注者ではなく受注した側が行います。
- 作業工程を組み立てる、一つひとつの仕事の単位のことです。開始と終了、所要日数をもち、順序をつないで全体の日程を作ります。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問80
同じ用語が出る問題
- 令和6年度 秋期 午前 問79:労働者派遣法に関する問題(指揮命令)
- 令和5年度 秋期 午前 問80(請負契約)
- 令和5年度 春期 午前 問79:労働者派遣法に関する問題(指揮命令)
- 令和4年度 秋期 午前 問79:指揮命令権と雇用契約(請負契約)
- 平成30年度 秋期 午前 問80:下請代金支払遅延等防止法の問題(請負契約)
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