平成30年度 秋期 午前 問80
法務
下請代金支払遅延等防止法の問題
ユーザから請け負うソフトウェア開発を下請業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法で禁止されている行為はどれか。
- ア交通費などの経費については金額を明記せず,実費負担とする旨を発注書面に記載する。
- イ下請業者に委託する業務内容は決まっているが,ユーザとの契約代金が未定なので,下請代金の取決めはユーザとの契約決定後とする。
- ウ発注書面を交付する代わりに,下請業者の承諾を得て,必要な事項を記載した電子メールで発注を行う。
- エユーザの事情で下請予定の業務内容の一部が未定なので,その部分及び下請代金は別途取り決める。
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✓ これが正解イ下請業者に委託する業務内容は決まっているが,ユーザとの契約代金が未定なので,下請代金の取決めはユーザとの契約決定後とする。
解説
業務内容が決まっているのに代金を後回しにする行為です。
下請代金支払遅延等防止法の柱を二本だけ置くと、四つの記述がきれいに割れます。一本目は書面の交付義務です。発注したら直ちに、業務の内容と代金、支払期日などを書いた書面を下請業者に渡さなければなりません。二本目は支払の確保で、受け取ってから定められた期間のうちに支払うこと、後から減額したり買いたたいたりしないことが求められます。この問いは一本目の話ですから、発注の時点で何が決まっているのかを見ます。禁止されるのは、業務の内容は決まっているのに代金だけを後回しにする形です。しかも後回しにする理由は、注文を受ける側の事情ではなく、発注する側とその取引先との契約がまだ決まっていないという発注側の事情です。これでは下請業者は、いくらもらえるか分からないまま作業を始めることになります。代金が決まらないうちは、あとで値切られても比べる基準がありません。ですから発注の時点で代金を定めて書面に記すことが義務になります。残る三つは、いずれも法律が用意した例外の形に収まっています。迷いやすいのは、取引先の事情で業務の内容の一部が決まっていないという記述との違いでしょう。決めようがないから後にするのは許され、決められるのに後にするのは許されないという一本の線で割れます。一部が未定という言葉の見た目ではなく、代金を決められる状態かどうかで判断してください。なお、ここでの発注は請負契約の下での委託を想定した書きぶりになっています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア交通費などの経費については金額を明記せず…:交通費などの経費について金額を書かず実費負担とする記述です。具体的な金額を書くことが難しいやむを得ない事情があるときは、金額の代わりに算定の方法を書くことが認められていますので、禁止には当たりません。
- ウ発注書面を交付する代わりに,下請業者の承…:書面の代わりに電子メールで発注する記述です。下請業者の承諾を得ていること、必要な事項を記載していることの二つがそろっており、電磁的な方法による交付として認められる形です。承諾なしに一方的に済ませるのとは違います。出題当時は下請代金支払遅延等防止法の定めでした。その後の改正で中小受託取引適正化法(取適法)となり、電子メールなどで発注の内容を示すのに相手の承諾は要らなくなりました。
- エユーザの事情で下請予定の業務内容の一部が…:取引先の事情で業務の内容の一部が決まっておらず、その部分と代金を別途取り決めるという記述です。定められない事項は未定の部分を除いた書面を先に渡し、決まり次第あらためて書面を出すことで補えます。
この問題の用語
- 請負契約仕事の完成を約束して引き受ける契約のこと。作業の遂行だけを約束する準委任契約と違い、成果物を完成させる義務を負います。
- 契約当事者の合意で成立する法的な約束のこと。原則として口頭でも成立し、契約書は内容を確かめる証拠になります。
- 電子メール文書やファイルをネットワーク越しに送る仕組み。送信にはSMTP、受信にはPOP3やIMAP4というプロトコルが使われます。
出題当時の情報です(現在との違い)
下請代金支払遅延等防止法は、2026年1月の改正法施行で「中小受託取引適正化法」に改称されました(出題時は旧称)。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前 問45:デジタル署名に関する問題(電子メール)
- 令和7年度 秋期 午前 問44:デジタルフォレンジックスの問題(電子メール)
- 令和5年度 秋期 午前 問80(請負契約)
- 令和4年度 秋期 午前 問79:指揮命令権と雇用契約(請負契約)
- 令和4年度 春期 午前 問79:偽装請負とされる事象(請負契約)
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