権利関係の練習問題 問35
権利関係
相殺に関する問題
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相殺に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの記述においても、双方の債務は弁済期にあり、相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示はないものとする。
- ア相殺の意思表示には、条件又は期限を付することができる。
- イ時効によって消滅した債権であっても、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、その債権をもって相殺をすることができる。
- ウAの過失による交通事故でBが負傷し、BがAに対して身体の侵害による損害賠償債権を取得した。AがBに対して貸金債権を有するときは、Aは、その貸金債権による相殺をもってBに対抗することができる。
- エCの過失による事故で負傷したDは、Cに対する身体の侵害による損害賠償債権を取得し、その債権をEに譲渡して、Cにその通知をした。CがEに対して売買代金債権を有するときであっても、Cは、その売買代金債権による相殺をもってEに対抗することができない。
答えと解説
✓ これが正解イ時効によって消滅した債権であっても、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、その債権をもって相殺をすることができる。
解説
時効消滅の前に相殺できる状態だった債権は、消滅後も相殺に使えます。
相殺は、互いに同じ種類の債務を負う二人が、対当額(重なる額)で債務を消し合うことです(第505条第1項)。相殺は相手方への意思表示でしますが、その意思表示に条件や期限を付けることはできません(第506条第1項)。
第508条は、時効によって消滅した債権でも、消滅する前に相殺に適する状態になっていた場合は、その債権者は相殺をすることができると定めています。これが正しい記述です。
一方、第509条は、悪意(相手を害する意思)による不法行為に基づく損害賠償の債務(第一号)と、人の生命・身体の侵害による損害賠償の債務(第二号)について、その債務者は相殺をもって債権者に対抗できないと定めています。過失による交通事故でけがをさせた場合も第二号に当たるので、加害者Aは相殺をBに対抗できません。ただし、同条ただし書により、債権者がその債権を他人から譲り受けたときは、この禁止はかかりません。損害賠償債権を譲り受けたEに対しては、Cは相殺を対抗できます。
ほかの選択肢の解説
- ア相殺の意思表示には、条件又は期限を付することができる。:第506条第1項後段は、相殺の意思表示には条件又は期限を付することができないと定めています。条件や期限を付けられるとする点が誤りです。
- ウAの過失による交通事故でBが負傷し、BがAに対して身体の侵害による損害賠償債権を取得した。AがBに対して貸金債権を有するときは、Aは、その貸金債権による相殺をもってBに対抗することができる。:第509条第二号により、人の身体の侵害による損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗できません。過失による事故の加害者Aも、被害者Bに相殺を対抗できません。
- エCの過失による事故で負傷したDは、Cに対する身体の侵害による損害賠償債権を取得し、その債権をEに譲渡して、Cにその通知をした。CがEに対して売買代金債権を有するときであっても、Cは、その売買代金債権による相殺をもってEに対抗することができない。:第509条ただし書により、債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、相殺の禁止はかかりません。Dから譲り受けたEに対しては、Cは相殺を対抗できます。
根拠:民法 第五百六条第1項/民法 第五百八条/民法 第五百九条/民法 第五百九条第二号。この問題は法令の条文から当サイトが作成した練習問題です(過去問ではありません)。
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