権利関係の練習問題 問23
権利関係
手付に関する問題
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宅地建物取引業者ではないAは、宅地建物取引業者ではないBとの間で、A所有の甲土地を代金3,000万円でBに売却する契約を締結し、BはAに手付として300万円を交付した。手付による解除について、AB間に民法の規定と異なる定めはない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- アAは、自らは契約の履行に着手していても、Bが契約の履行に着手していなければ、Bに600万円を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
- イAは、Bが契約の履行に着手する前であれば、Bに対して600万円を支払う旨を口頭で伝えるだけで、契約の解除をすることができる。
- ウBが手付を放棄して契約の解除をした場合、Aは、手付の額を超える損害が生じたことを証明すれば、Bに対してその損害の賠償を請求することができる。
- エBは、Aが契約の履行に着手した後であっても、手付を放棄すれば、契約の解除をすることができる。
答えと解説
✓ これが正解アAは、自らは契約の履行に着手していても、Bが契約の履行に着手していなければ、Bに600万円を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
解説
手付解除を妨げるのは相手方の履行の着手で、自分の着手ではありません。
手付(てつけ)は、契約のときに買主から売主に渡されるお金です。第557条第1項により、買主が手付を交付したときは、買主はその手付を放棄して、売主はその倍額を「現実に提供して」、契約を解除することができます。本問では、Aが解除するには手付の倍額の600万円を実際に差し出す必要があります。
この解除ができなくなるのは、同項ただし書のとおり、その相手方が契約の履行に着手した後です。解除を止めるのは相手方の着手であり、解除しようとする本人がすでに履行に着手していても、相手方が着手していなければ解除できます。したがって、Aが自ら履行に着手していても、Bが着手していなければ、600万円を現実に提供して解除できるという記述が正しいものです。
また、第557条第2項は、解除しても損害賠償の請求を妨げないとする第545条第4項を、手付による解除には適用しないと定めています。手付による解除では、手付の放棄や倍額の提供のほかに損害賠償を請求されることはありません。なお、宅地建物取引業者が自ら売主となり、業者でない者が買主となる場合には宅地建物取引業法の特則がありますが、本問はどちらも業者でない者どうしの取引です。
ほかの選択肢の解説
- イAは、Bが契約の履行に着手する前であれば、Bに対して600万円を支払う旨を口頭で伝えるだけで、契約の解除をすることができる。:第557条第1項は、売主が解除するには手付の倍額を「現実に提供して」することを求めています。口頭で支払う旨を伝えるだけでは足りません。
- ウBが手付を放棄して契約の解除をした場合、Aは、手付の額を超える損害が生じたことを証明すれば、Bに対してその損害の賠償を請求することができる。:第557条第2項により、手付による解除には、解除が損害賠償の請求を妨げないとする第545条第4項が適用されません。手付の額を超える損害の賠償は請求できません。
- エBは、Aが契約の履行に着手した後であっても、手付を放棄すれば、契約の解除をすることができる。:第557条第1項ただし書により、相手方が契約の履行に着手した後は、手付による解除はできません。Bにとっての相手方であるAが着手した後は、Bは解除できません。
根拠:民法 第五百五十七条第1項/民法 第五百五十七条第2項/民法 第五百四十五条第4項。この問題は法令の条文から当サイトが作成した練習問題です(過去問ではありません)。
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