令和5年度 午前の部 問25
刑法
刑法に関する問題
刑法の共犯に関する次の1から5までの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、どれか。
- 1教唆犯を教唆した者には、教唆犯は成立しない。
- 2他人を唆して特定の犯罪を実行する決意を生じさせた場合には、唆された者が実際に当該犯罪の実行に着手しなくても、教唆犯が成立する。
- 3拘留又は科料のみに処すべき罪を教唆した者は、特別の規定がなくても、教唆犯として処罰される。
- 4不作為により正犯の実行行為を容易にさせた場合には、幇助犯は成立しない。
- 5幇助者と正犯との間に意思の連絡がなく、正犯が幇助者の行為を認識していない場合であっても、正犯の実行行為を容易にさせる行為をしたときは、幇助犯が成立する。
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✓ これが正解5幇助者と正犯との間に意思の連絡がなく、正犯が幇助者の行為を認識していない場合であっても、正犯の実行行為を容易にさせる行為をしたときは、幇助犯が成立する。
解説
片面的幇助も判例は幇助犯の成立を認めるので、最後の記述が正しい
共犯のうち教唆犯(人をそそのかして犯罪を実行させる者)と幇助犯(正犯の実行を手助けする者)について、刑法の条文と判例で判断します。正しいものを1つ選びます。
教唆犯を教唆した者には教唆犯が成立しないとする記述は誤りです。刑法第61条第2項は、教唆者を教唆した者についても、人を教唆して犯罪を実行させた者と同様とすると定めており、間接教唆も処罰されます。
唆された者が実行に着手しなくても教唆犯が成立するとする記述も誤りです。第61条第1項は人を教唆して犯罪を実行させた者を処罰するとしており、教唆犯の成立には、正犯が少なくとも実行に着手することが必要と理解されています(共犯の従属性)。
拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者を特別の規定なしに処罰するという記述も誤りです。第64条は、拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ罰しないと定めています。
不作為による幇助犯は成立しないとする記述も誤りです。判例・裁判例は、正犯の犯罪を防止すべき立場にある者が、それをせずに実行を容易にした場合に、不作為による幇助犯を認めています。
残る、幇助者と正犯の間に意思の連絡がなく正犯が幇助を認識していなくても、実行を容易にする行為をすれば幇助犯が成立するという記述が正しい記述です。これを片面的幇助といい、判例は幇助犯の成立を認めています。第62条第1項は正犯を幇助した者を従犯とするとしているだけで、正犯との意思の連絡を要件にしていないためです。
なお、意思の連絡がない片面的共同正犯は判例上認められていないので、共同正犯と幇助犯で結論が分かれる点をセットで覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1教唆犯を教唆した者には、教唆犯は成立しな…:教唆者を教唆した者は刑法第61条第2項で教唆犯と同様に扱われるので、間接教唆に教唆犯が成立しないとするこの記述は条文と逆の内容です。
- 2他人を唆して特定の犯罪を実行する決意を生…:教唆犯は正犯が犯罪の実行に着手して初めて成立すると理解されており、決意を生じさせただけで実行の着手がない段階で教唆犯を認めるこの記述は誤りです。
- 3拘留又は科料のみに処すべき罪を教唆した者…:軽微な罪をそそのかした者まで処罰するのは行き過ぎだとして、刑法は処罰に別の明文を求めています。明文なしで教唆犯として処罰されるとする点が誤りです。
- 4不作為により正犯の実行行為を容易にさせた…:幇助は作為に限られず、例えば子への暴行を親が止めずに放置した事案のように、阻止すべき義務がある者の見過ごしにも幇助犯が認められた例があります。一律に否定する点が誤りです。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問25(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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