令和7年度 午前の部 問25
刑法
刑法に関する問題
犯人蔵匿等罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア ある者が「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」として捜査対象になっているが真犯人ではないと考えてその者を蔵匿・隠避する行為には、犯人蔵匿等罪は成立しない。
イ 「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」との間の口裏合わせに基づいて、参考人として、警察官に対し、その者の身柄の拘束を免れさせるような虚偽の供述をする行為には、犯人蔵匿等罪が成立する。
ウ 「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」が犯した罪の法定刑が罰金以上であることを認識せずにその者を蔵匿・隠避する行為には、犯人蔵匿等罪は成立しない。
エ 「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」が自らを蔵匿・隠避する行為には犯人蔵匿等罪は成立しないが、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」が他人に自らを蔵匿・隠避するよう教唆する行為には犯人蔵匿等罪の教唆が成立する。
オ 捜査が開始される前に「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」を蔵匿・隠避する行為には、犯人蔵匿等罪は成立しない。
- 1アウ
- 2アエ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウオ
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✓ これが正解3イエ
解説
イとエが正しい。嫌疑者も対象で、法定刑の認識や捜査開始は不要
犯人蔵匿等罪について、刑法第103条と判例で判断する問題です。第103条は、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を蔵匿し、または隠避させた者を処罰しています。
アについて、判例は、罪を犯した者には、真犯人だけでなく、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれるとしています。真犯人ではないと考えていても、捜査対象となっている者を蔵匿・隠避すれば本罪が成立するので、アは誤りです。イについて、判例は、犯人との口裏合わせに基づいて、参考人として警察官に犯人の身柄の拘束を免れさせるような虚偽の供述をすることは、隠避させる行為に当たるとしています。イは正しい記述です。ウについて、判例は、犯人の犯した罪が罰金以上の刑に当たることの認識までは必要でないとしています。ウは誤りです。
エについて、犯人が自ら逃げ隠れする行為は本罪の構成要件に当たりませんが、判例は、犯人が他人に自己を蔵匿・隠避するよう教唆したときは、防御の範囲を逸脱するものとして犯人蔵匿等罪の教唆犯が成立するとしています。エは正しい記述です。オについて、判例は、捜査機関に発覚する前、つまり捜査が開始される前であっても、本罪は成立するとしています。オは誤りです。したがって、イとエの組合せが正解です。
本罪は国の刑事司法作用を守るための罪なので、捜査の前後や真犯人かどうかで成否は変わらない、と保護法益から考えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アは真犯人でないと考えれば本罪は成立しないとする点、ウは法定刑が罰金以上だとの認識を必要とする点で、どちらも判例と逆の誤った記述です。正しいのはイとエです。
- 2アエ:エは犯人自身による教唆に教唆犯を認めるという判例どおりの記述ですが、アは誤りです。判例は、嫌疑を受けて捜査中の者も罪を犯した者に含まれるとしています。
- 4イオ:イは口裏合わせによる虚偽供述を隠避に当たるとする判例どおりの記述ですが、オは捜査の開始前には本罪が成立しないとする点で判例と合わず、誤りです。
- 5ウオ:ウは法定刑の認識を要求する点、オは捜査が始まる前の蔵匿を処罰の外に置く点で、いずれも判例の立場と違います。誤った記述だけの組合せです。
出典:令和7年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問25(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
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