第36回 問題76
保健医療と福祉
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年(平成30年)改訂版)」(厚生労働省)に沿った対応の方針として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(72歳)は,妻(70歳)と二人暮らし。10年前より筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断を受け,在宅で療養を続けてきた。診断を受けた当初,「人工呼吸器は装着せずに,自宅で自然な状態で最期を迎えたい」と言っていた。1か月前から言語の表出,自発呼吸が困難となり,人工呼吸器の装着について検討することとなった。
- 1診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。
- 2Gさんに代わって,妻の判断を優先する。
- 3Gさん,家族,医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。
- 4家庭裁判所に判断を求める。
- 5医師の医学的判断により決定する。
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✓ これが正解3Gさん,家族,医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。
解説
本人・家族・医療ケアチームで繰り返し話し合う場を設けます。
この問は、厚生労働省の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年改訂版)の考え方で判断します。ガイドラインは、医療・ケアの方針を本人の意思決定を基本に、本人・家族等・医療・ケアチームが話し合いを繰り返して決めることを求めています。本人の意思は時間の経過や心身の状態の変化で変わりうるので、一度示された意思を固定せず、その都度確かめ直すことが前提です。いわゆるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の考え方です。
事例の決め手は、Gさんが人工呼吸器を付けないと話したのが10年前の診断当初であること、そして今は言語の表出が難しくなっていることです。当時の言葉は大切な手がかりですが、そのまま現在の意思とはみなせません。文字盤などの手段も含めて今のGさんの思いを確かめ、確かめきれない部分は、家族が推定するGさんの意思を尊重しながら、本人にとって最善の方針をチームで話し合います。
したがって、Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する対応が、ガイドラインに沿った方針です。覚え方としては、人生の最終段階の方針は誰か一人が決めるのではなく、本人を中心に関係者が繰り返し話し合って合意をつくる、と押さえると迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。:診断を受けた当初の言葉は10年前のものです。ガイドラインは意思が変わりうることを前提にしているため、昔の意思をそのまま優先せず、今の思いを確かめ直す話し合いが必要です。
- 2Gさんに代わって,妻の判断を優先する。:家族は本人の意思を推定して伝える大切な存在ですが、本人に代わって家族の判断を優先する仕組みではありません。あくまで本人の意思と最善の利益を中心に、関係者で話し合って決めます。
- 4家庭裁判所に判断を求める。:ガイドラインは、方針を家庭裁判所に判断してもらう手順を定めていません。話し合いで合意が得られない場合も、複数の専門家による話し合いの場を別に設けて検討や助言を受けるとしています。
- 5医師の医学的判断により決定する。:医師の医学的判断は重要な材料ですが、医師一人の判断で決めるのではなく、多職種の医療・ケアチームが本人や家族と話し合って方針を決めることが求められています。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題76。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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