第26回 問題41
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
Dさん(30歳)は半年前に精神科病院を退院し,週3日アルバイトを行い,1日は精神科デイ・ケアを利用している。病状は落ち着いており,デイケアには時間に遅れずにやって来て,メンバーとレクリエーションを楽しんでいた。ところが,Dさんがデイケアを休むことが続いたので,心配した担当の精神保健福祉士が電話をした。Dさんは,「メンバーからカラオケ店に頻繁に誘われるようになった。疲れるので行きたくないが,相手の気分を害するのではないかと思うと断れない」と話した。話を聞いた精神保健福祉士は,Dさんにデイケアの新たなプログラムへの参加を提案した。
次のうち,精神保健福祉士がDさんに提案したプログラムの目的として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1正規雇用の仕事に就く準備
- 2服薬の自己管理
- 3生活リズムの改善
- 4ソーシャルスキルの獲得
- 5疾病や障害の正しい知識の学習
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✓ これが正解4ソーシャルスキルの獲得
解説
誘いを断れない悩みには、対人技能を練習するプログラムが合います。
この事例は、デイケアを休みがちになったDさんに電話で事情を聞いた場面で、支援の段階でいえばアセスメント(困りごとの見立て)から次の支援を組み立てるところです。決め手はDさんの言葉です。メンバーからカラオケに頻繁に誘われ、疲れるので行きたくないのに、相手の気分を害するのが心配で断れない、と話しています。
ここから読み取れる課題は、病状や生活習慣ではなく、相手との関係を保ちながら自分の気持ちを伝える対人場面の振る舞いです。Dさんは病状が落ち着き、時間どおりにデイケアへ通い、アルバイトも続けていました。休むようになった理由は、断れない誘いによる疲れです。
そこで精神保健福祉士が提案したプログラムの目的は、ソーシャルスキルの獲得と考えられます。精神科デイ・ケアでは、SST(社会生活技能訓練)のように、断り方や頼み方などの場面をロールプレイで練習し、ほめ合いながら実生活で使える形にしていくプログラムが行われています。相手を尊重しつつ自分の意思を伝える練習は、Dさんの困りごとにそのまま対応します。
見分け方として、事例の中で本人が何に困っていると話しているかを先に押さえ、その困りごとに直接届くプログラムの目的を選ぶと迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1正規雇用の仕事に就く準備:Dさんは週3日のアルバイトを続けており、困っているのは仕事の確保ではありません。誘いを断れないという対人関係の悩みに、雇用の準備は直接こたえていません。
- 2服薬の自己管理:病状は落ち着いていると書かれ、薬の飲み忘れや中断の話は出ていません。服薬の管理を目的にしても、カラオケの誘いを断れない悩みは解消しません。
- 3生活リズムの改善:Dさんはもともと時間に遅れずにデイケアへ来ていました。休むようになったのは誘いを断れない疲れが原因で、生活の乱れそのものが問題ではありません。
- 5疾病や障害の正しい知識の学習:病気や障害の知識を学ぶのは心理教育の目的です。Dさんに欠けているのは知識ではなく、相手を気づかいながら断る具体的な言い方や振る舞いです。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題41。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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