第61回 午後 問29
生理学
運動時のエネルギー供給で正しいのはどれか。
- 1クレアチンリン酸系では乳酸が蓄積する。
- 2運動開始後最初に使われるのは解糖系である。
- 3長時間の運動では無酸素性エネルギーに依存する。
- 4有酸素性エネルギー供給は大量のATPを生産できる。
- 5嫌気性代謝閾値〈AT〉とは血中乳酸濃度が低下する点である。
答えと解説を見る
✓ これが正解4有酸素性エネルギー供給は大量のATPを生産できる。
解説
有酸素性のエネルギー供給は大量のATPを産生できます。
運動に必要なATP(アデノシン三リン酸)を作る仕組みは、クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系の3つです。判断の軸は、それぞれの速さ、作れるATPの量、副産物、そして運動時間との関係です。
有酸素系は、ミトコンドリアで酸素を使い、糖や脂肪を最後まで分解してATPを作ります。反応はゆっくりですが、1分子のブドウ糖から作れるATPは解糖系だけの場合よりずっと多く、脂肪も燃料にできるため、長く続く運動を支えることができます。よって有酸素性エネルギー供給は大量のATPを生産できるという記述が正しいものです。
クレアチンリン酸系は筋にためたクレアチンリン酸からすばやくATPを作る仕組みで、乳酸は生じません。運動開始直後に最初に使われるのもこのクレアチンリン酸系で、解糖系はその後に主役となります。長時間の運動は有酸素性のエネルギーに依存します。嫌気性代謝閾値(AT)は、運動強度を上げていく途中で血中の乳酸濃度が急に上がり始める点で、低下する点ではありません。速いが少ないのがクレアチンリン酸系、中間が解糖系、遅いが多いのが有酸素系、と並べて覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1クレアチンリン酸系では乳酸が蓄積する。:クレアチンリン酸系は、クレアチンリン酸のリン酸をADPに渡してATPを作るだけの反応で、乳酸は生じません。乳酸が増えるのは解糖系が盛んになったときです。
- 2運動開始後最初に使われるのは解糖系である。:運動を始めた直後に真っ先に使われるのは、筋にたくわえたATPとクレアチンリン酸です。解糖系はそれに続いて働きが大きくなります。
- 3長時間の運動では無酸素性エネルギーに依存する。:長く続く運動では、酸素を使って糖や脂肪を分解する有酸素性の仕組みが主になります。無酸素性の仕組みだけでは数十秒から数分しか続きません。
- 5嫌気性代謝閾値〈AT〉とは血中乳酸濃度が低下する点である。:ATは運動を強めていく途中で、有酸素系だけでは追いつかず乳酸がたまり始める強さです。乳酸の値が下がる点として定義されてはいません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問29(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)