第61回 午後 問4
理学療法評価学
腹臥位に関する問題
腹臥位で膝関節を屈曲させたところ、図のような現象が見られた。短縮が疑われる筋はどれか。
膝関節屈曲時の図:
- 腹臥位で検者が膝関節を屈曲させると、殿部が上方へ持ち上がっている(上向きの矢印)。
- 1大殿筋
- 2腸腰筋
- 3梨状筋
- 4大腿直筋
- 5大腿二頭筋
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✓ これが正解4大腿直筋
解説
腹臥位の膝屈曲で殿部が浮くのは大腿直筋の短縮を示します。
腹臥位で膝を曲げたときに殿部が持ち上がる現象は、Elyテスト(尻上がり現象)とよばれる大腿直筋の短縮テストの陽性所見です。判断の軸は、どの筋が股関節と膝関節の両方をまたぐ二関節筋かという解剖の知識です。
大腿直筋は下前腸骨棘から起こり、膝蓋骨を経て脛骨粗面に付くため、股関節屈曲と膝関節伸展に働きます。腹臥位で股関節が伸展した状態のまま膝を深く曲げると、大腿直筋が両端から引き伸ばされます。短縮していると伸び切れず、骨盤を前に引いて股関節を屈曲させるので、殿部が上へ持ち上がります。
大殿筋や梨状筋は股関節だけをまたぎ、膝の屈曲で伸ばされません。腸腰筋も股関節屈筋ですが膝をまたがないため、膝を曲げても張力は変わらず、Thomasテストで調べます。大腿二頭筋は膝屈筋なので、膝を曲げるとむしろゆるみます。よって短縮が疑われるのは大腿直筋です。二関節筋の短縮は、またぐ2つの関節を同時に伸ばす方向へ動かすと現れる、と覚えておくと、ハムストリングスのSLRなどにも応用できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1大殿筋:大殿筋は股関節の伸展筋で、膝関節をまたぎません。腹臥位で膝を曲げても引き伸ばされないため、殿部が持ち上がる原因にはなりません。
- 2腸腰筋:腸腰筋は股関節の屈筋ですが膝をまたがないので、膝を屈曲しても張力は変わりません。腸腰筋の短縮は背臥位で反対側の股を抱えるThomasテストで見ます。
- 3梨状筋:梨状筋は股関節の外旋に働く深層の筋で、膝の動きとは関係しません。膝屈曲で骨盤が引かれて殿部が浮く現象は説明できません。
- 5大腿二頭筋:大腿二頭筋は膝関節を曲げる筋なので、膝を屈曲させると伸ばされずに短くゆるみます。短縮があればSLRで股関節屈曲が制限される形で現れます。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問4(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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