令和6年度 問39
民法
管理費に関する問題
マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、区分所有法、民事訴訟法及び破産法によれば、最も適切なものはどれか。
- 1管理費の滞納者は、破産手続開始の決定を受けた場合には、管理組合に対して、同決定を受けた日の翌日以降の管理費の支払義務を負わない。
- 2管理費が滞納されているマンションの住戸を購入した買主は、購入時点で前区分所有者の滞納の事実及びその額について知らなかった場合には、管理組合に対して当該滞納債務の支払義務を負わない。
- 3管理費の滞納者が行方不明の場合であっても、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することができる。
- 4管理規約に管理費債務については消滅時効を援用できない旨が定められている場合には、管理費の滞納者は、たとえ消滅時効が完成しても時効の援用をすることができない。
答えと解説を見る
✓ これが正解3管理費の滞納者が行方不明の場合であっても、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することができる。
解説
滞納者が行方不明でも、管理組合は滞納管理費の支払を求める訴えを起こせます。
本問は、民法の時効の利益の放棄(第146条)、区分所有法の特定承継人の責任(第8条)、民事訴訟法の公示送達、破産法の考え方で判断します。公示送達とは、相手の住所や居所が分からないときに、法律の定める方法で裁判所が書類を送達したものとして扱う手続です。
滞納者が行方不明でも、管理組合は滞納者を被告として訴えを提起でき、訴状などは公示送達の方法で送達できるので、訴えを提起できるという記述が適切です。相手が所在不明だからといって、裁判で請求する道が閉ざされるわけではありません。
他の記述を見ます。破産手続開始の決定を受けても、区分所有者である限り、その後に生じる管理費の支払義務がなくなるわけではありません。破産手続で整理されるのは、開始決定前の原因に基づく債権です。区分所有法第8条は、管理費などの債権を債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定めており、買主が滞納を知らなかったかどうかは問いません。民法第146条は、時効の利益はあらかじめ放棄することができないと定めているので、時効を援用できない旨の規約の定めがあっても、滞納者は完成した時効を援用できます。
知らなかった買主も承継する、時効の利益は前もって捨てられない、所在不明でも訴えは起こせる、と結論を並べて覚えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1管理費の滞納者は、破産手続開始の決定を受…:破産手続で整理の対象になるのは、開始決定より前の原因に基づく債権です。開始決定の後も区分所有者であり続けるなら、その後に発生する管理費は支払わなければならず、義務が消えるとする点が誤りです。
- 2管理費が滞納されているマンションの住戸を…:前の区分所有者の滞納管理費は、住戸を買った特定承継人にも請求できます。買主が滞納の事実や金額を知っていたかどうかで結論は変わらないので、知らなければ払わなくてよいという説明は誤りです。
- 4管理規約に管理費債務については消滅時効を…:時効の利益を前もって放棄することは民法で禁じられています。管理規約に援用できないと書いてあっても、その定めは効力をもたず、時効が完成すれば滞納者は援用できるので、この記述は不適切です。
出典:令和6年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問39
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)