第114回 午後 問117
精神看護学
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。友人の死去後、食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。夫が積極的に散歩に誘っても、Aさんは「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉と不眠時の睡眠薬が処方された。夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。
Aさんの症状は半年ほどで落ち着き、夫との散歩や料理を楽しみ、特に問題なく過ごせるようになった。精神科受診を終了して1年後、Aさんは再び家にこもりがちになった。夫の話では、急に料理の作り方や人の名前を何度も確認するなど、家事に時間がかかるようになった。Aさんは「何もできないと思っているでしょ」と、ささいなことに怒ったり、急に泣き出すことが増え、夫と一緒に精神科外来を再受診した。
頭部MRI検査の結果、多発性脳梗塞がみられ、血管性認知症と診断された。Aさんは「自分が認知症なんて信じられない。もう治らない」と話した。
Aさんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調が良いときは、夫の料理を手伝ったり散歩に出かけている。排泄や着替えは時間をかけて1人で行えるが、入浴は夫の介助が必要である。夫は「入浴のサポートを受けたり、自分が不在のときに泊まれる場所はないか」と話している。外来看護師がAさんの希望を聞くと「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえると安心です」と話した。
Aさんに紹介するサービスで適切なのはどれか。
- 1小規模多機能型居宅介護
- 2認知症対応型通所介護
- 3自立訓練
- 4療養介護
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✓ これが正解1小規模多機能型居宅介護
解説
通い・訪問・泊まりを組み合わせる小規模多機能型居宅介護が適切です。
介護サービスを紹介するときは、本人の希望と家族の希望の両方を満たせるかで判断します。夫は、入浴の支援を受けたいことと、自分が不在のときに泊まれる場所がほしいことを話しています。Aさんは、人が多い場所が苦手で、家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえたりすると安心と話しています。
小規模多機能型居宅介護は、介護保険の地域密着型サービスの一つで、登録した少人数の利用者に対し、1つの事業所が、通い、訪問、泊まりを組み合わせて提供します。顔なじみの職員が対応し、少人数なので人の多い場所が苦手なAさんにも利用しやすく、通いで入浴の支援を受け、夫の不在時には泊まり、必要なときは家に来てもらうこともできます。
以上から、小規模多機能型居宅介護が適切です。通い・訪問・泊まりが一体のサービスは小規模多機能型居宅介護、と覚えておくと、家族の希望が複数ある事例で選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2認知症対応型通所介護:認知症対応型通所介護は、認知症の人が日中に通って入浴や食事などの支援を受けるサービスです。通いが中心で、夫の不在時に泊まる場所や家に来てもらう支援は含まれていません。
- 3自立訓練:自立訓練は、障害者総合支援法による訓練のサービスで、自立した生活に必要な身体機能や生活能力を高めることを目的とします。入浴の介助や泊まりを求めるAさん夫婦の希望とは合いません。
- 4療養介護:療養介護は、障害者総合支援法によるサービスで、医療と常時の介護を必要とする重度の障害者が病院で機能訓練や療養上の管理を受けるものです。Aさんの状態や希望とは合いません。
出典:第114回 看護師国家試験 午後(厚生労働省)問117(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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