第38回 問題110
介護過程
次の事例を読んで,問題110,問題111について答えなさい。
〔事 例〕
Aさん(78歳,女性,要介護1)は,軽度の認知症(dementia)があり,通所介護(デイサービス)を利用しながら一人暮らしをしている。一人娘が近くに住んでいる。最近,近所の人から娘に,「決められた日以外にごみを出しているので,そっと片付けているの」と連絡があった。
翌日,娘がAさんの自宅に行くと,部屋の中に弁当の空の容器がそのまま残されていた。心配した娘が同居を勧めたが,Aさんは,「これからもこの家からデイサービスに通いたい」と強い口調で言った。話し合いの結果,娘が夕方に様子を見に行くことになった。
Aさんは,通所介護(デイサービス)を休むことなく利用していたが,ある日の迎えのとき,担当の介護福祉職に,「今日は行きたくない」と言って利用を拒否した。娘が理由を聞くと,「クイズの時間になると利用者のBさんに,あなたの答えはいつも間違えていると何度も注意される。情けない・・・」と話した。娘はAさんの様子を介護福祉職に伝えた。
次のうち,Aさんのニーズとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1娘の家で同居すること
- 2自宅での生活を続けること
- 3通所介護(デイサービス)を休めること
- 4弁当のメニューを変更すること
- 5ごみ出しを近所の人に任せること
答えと解説を見る
✓ これが正解2自宅での生活を続けること
解説
この家からデイサービスに通いたいという言葉から、自宅での生活の継続がニーズです。
この事例の決め手は、娘に同居を勧められたときに、Aさんがこれからもこの家からデイサービスに通いたいと強い口調で言ったことです。ごみ出しの日を間違えたり、弁当の容器が残っていたりと生活に困りごとは出ていますが、Aさん自身ははっきりと今の家で暮らし続けたいという意思を示しています。
介護過程でいうニーズとは、利用者が望む暮らしを実現するために必要なこと、つまり解決すべき生活課題のことです。周りの人が心配して考える対応ではなく、本人の意思を中心にとらえることが大切です。娘が夕方に様子を見に行くことになったのも、Aさんの自宅での生活を支えるための工夫です。ごみ出しや食事の後片付けの困りごとは、自宅での生活を続けるために支援で補っていく事柄と考えられます。
したがって、Aさんのニーズとして、自宅での生活を続けることが最も適切です。ニーズを考えるときは、困りごとの表面ではなく、本人が言葉や態度で示した望む暮らしに注目すると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1娘の家で同居すること:娘の家での同居は、心配した娘が勧めたことです。Aさんはこれに対して、今の家から通いたいと強い口調で答えており、本人の望む暮らしとは反対の内容になっています。
- 3通所介護(デイサービス)を休めること:Aさんは、デイサービスをこれまで休まず利用しており、今の家から通いたいと話しています。行きたくないと言ったのは、ほかの利用者からの注意がつらかったためで、休むこと自体を望んでいるわけではありません。
- 4弁当のメニューを変更すること:部屋に弁当の空の容器が残っていたのは、後片付けがうまくできていない様子を示すもので、弁当の中身への不満が語られているわけではありません。メニューの変更はニーズの読み取りとしてずれています。
- 5ごみ出しを近所の人に任せること:ごみ出しの日の間違いは困りごとの一つですが、近所の人に任せることはAさんが望んだことではありません。本人の生活を支える方法を考えるべき場面で、他人に任せきりにするのは適切ではありません。
出典:第38回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題110。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)