第38回 問題83
認知症の理解
次の記述のうち,認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 110分前に施設職員が挨拶しに来たことを,覚えていない。
- 2病院にいるのに,自宅にいると思っている。
- 3通所介護(デイサービス)を利用中に,出口を探して歩き回る。
- 4薬を処方されても,服薬管理ができない。
- 5入浴を促すと,湯につかるだけで出てくる。
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✓ これが正解3通所介護(デイサービス)を利用中に,出口を探して歩き回る。
解説
出口を探して歩き回るのは、認知症の行動・心理症状にあたります。
認知症の症状は、脳の神経細胞が壊れることで直接起こる中核症状と、中核症状を背景に、本人の性格や環境、体調、人間関係などが影響して現れる行動・心理症状(BPSD)に分けて考えます。中核症状には、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害などがあり、BPSDには、歩き回る、興奮する、妄想、不安、抑うつなどがあります。
最近のことを覚えていない、いる場所を取り違える、服薬の管理ができない、入浴の手順をこなせない、という様子は、いずれも記憶や見当識、物事を順序立てて行う力の低下という中核症状から直接生じるものです。
正しいのは、通所介護を利用中に出口を探して歩き回るという様子です。帰りたい、ここがどこか分からないといった不安や、その場の環境が影響して現れる行動で、行動・心理症状にあたります。背景にある気持ちを探り、安心できる関わりを工夫することが支援の基本です。
見分け方は、能力の低下そのものなら中核症状、それをきっかけに生じる行動や感情の変化ならBPSD、と分けることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 110分前に施設職員が挨拶しに来たことを,覚えていない。:10分前の出来事を覚えていないのは、新しいことを記憶にとどめておけない記憶障害で、脳の障害から直接起こる中核症状です。環境や心理の影響で現れる行動・心理症状とは区別されます。
- 2病院にいるのに,自宅にいると思っている。:病院にいるのに自宅にいると思っているのは、今いる場所が分からなくなる見当識障害です。見当識障害は中核症状の1つで、行動・心理症状には含まれません。
- 4薬を処方されても,服薬管理ができない。:処方された薬を決まったとおりに管理して飲めないのは、計画を立てて順序よく物事を進める力が落ちる実行機能障害によるものと考えられます。これも中核症状の1つです。
- 5入浴を促すと,湯につかるだけで出てくる。:湯につかるだけで出てくるのは、体を洗う、髪を洗うといった入浴の一連の手順を組み立てられないためと考えられ、実行機能障害などの中核症状の表れとみられます。
出典:第38回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題83。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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