第38回 問題87
認知症の理解
認知症(dementia)の人への環境の配慮に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1視覚的認識を容易にするために,廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
- 2聴覚に影響を与えるために,ピクトグラム(pictogram)を表示する。
- 3音の選択的聴取の力を高めるために,BGM(background music)の音量を大きくする。
- 4穏やかに生活するために,居室の光の刺激を強くする。
- 5落ち着く空間をつくるために,居室を細かい模様の壁紙で統一する。
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✓ これが正解1視覚的認識を容易にするために,廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
解説
手すりに色をつけて目立たせ、見て分かりやすくするのが適切です。
認知症の人は、物の形や距離、背景との区別をとらえる視覚的な認識が難しくなることがあります。そのため環境づくりでは、刺激を強くするのではなく、必要なものがはっきり見え、余計な刺激が少ない状態に整えることが基本になります。
廊下の手すりに壁と違う色をつけると、手すりの位置が目に入りやすくなり、自分でつかんで歩く手がかりになります。色の差(コントラスト)をつけることは、見分けにくさを補い、移動の安全と自立を支える工夫です。ほかの肢は、絵記号を耳の働きの話にしている、音を大きくしている、光を強めている、細かい模様で埋めている、というように、目的と方法がかみ合っていなかったり刺激を増やしたりしています。
したがって、視覚的認識を容易にするために手すりに色をつける記述が最も適切です。認知症の人への環境の配慮は、見やすく、分かりやすく、刺激は穏やかに、の3点で判断すると選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2聴覚に影響を与えるために,ピクトグラム(pictogram)を表示する。:ピクトグラムは、トイレや出口などを絵で示す記号で、目で見て理解するための道具です。聴覚に働きかけるという目的とは合っておらず、目的と方法の組み合わせが誤っています。
- 3音の選択的聴取の力を高めるために,BGM(background music)の音量を大きくする。:BGMの音量を上げると、話し声など必要な音を聞き分けることがかえって難しくなり、落ち着きを失う原因にもなります。音の環境は、雑音を減らして聞き取りやすく整えるのが基本です。
- 4穏やかに生活するために,居室の光の刺激を強くする。:強い光は、まぶしさや興奮につながり、穏やかな生活を妨げることがあります。明るさは、まぶしすぎず暗すぎない、目に優しい状態に調整するのが望ましい配慮です。
- 5落ち着く空間をつくるために,居室を細かい模様の壁紙で統一する。:細かい模様の壁紙は、模様が虫や人の顔のように見える錯覚を招いたり、目が疲れて落ち着かなくなったりする原因になります。落ち着く空間には、刺激の少ない無地に近い内装が向いています。
出典:第38回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題87。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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