第37回 問題113
介護過程
次の事例を読んで,問題112,問題113について答えなさい。
〔事 例〕
Bさん(42歳,女性,障害支援区分3)は,知的障害があり,母親と二人暮らしである。日中は生活介護事業所に通っている。日常生活動作の一部に見守りが必要である。個別支援計画の短期目標を,「見守りのもと,トイレで排泄ができる」としている。
しかし,最近,排泄のときに下着やズボンを汚してしまい,それをほかの利用者にからかわれ,しばらく一人でいる様子があったと生活支援員から申し送りがあった。
ある日,事業所長が話しかけると,Bさんは,「トイレで失敗したら恥ずかしい」と元気なく話した。母親からも電話で,「これからは紙おむつを使うように勧めているのだけど,使いたくないとBは話している」とサービス管理責任者に連絡があった。
Bさんについて,個別支援会議が開催され,短期目標を,「排泄の自立(下着を汚さずに排泄する)(3か月)」とした。次の記述のうち,Bさんの短期目標を実現するために生活支援員がとる対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1定期的に,手順を理解できているか一緒に確認する。
- 2自宅で排泄を済ませ,事業所で排泄しないように助言する。
- 3母親の要望であると伝え,紙おむつを使うように助言する。
- 4ポータブルトイレを設置し,そこで排泄をするように誘導する。
- 5排泄に関する行為を,全介助にする。
答えと解説を見る
✓ これが正解1定期的に,手順を理解できているか一緒に確認する。
解説
手順を定期的に一緒に確かめる支援が、排泄の自立につながります。
事例の決め手は、新しい短期目標が下着を汚さずに排泄する排泄の自立であること、Bさんがトイレで失敗したら恥ずかしいと話していること、そして紙おむつは使いたくないという本人の意思です。目標を実現するための対応は、本人の意思を尊重しながら、トイレで排泄する力を育てる方向で考えます。
選択肢を見ると、事業所では排泄しないように助言するのは、事業所で練習する機会をなくします。母親の要望として紙おむつを勧めるのは、本人の意思に反します。ポータブルトイレへの誘導は、トイレで排泄できる力があるBさんにとって後戻りになります。全介助にすると、自分でできる部分まで奪ってしまいます。
知的障害のあるBさんにとって、排泄の手順を一緒に確認し、できているところとつまずいているところを定期的に振り返ることは、失敗を減らし、自信を取り戻すことにつながります。したがって、定期的に手順を理解できているか一緒に確認する対応が最も適切です。個別支援計画の実施では、目標に向かって本人ができることを増やす支援か、減らす支援かで見分けると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2自宅で排泄を済ませ,事業所で排泄しないように助言する。:事業所で排泄しないように助言すると、トイレでの排泄を練習する機会がなくなり、短期目標の実現から遠ざかります。生理的な欲求を我慢させることにもつながります。
- 3母親の要望であると伝え,紙おむつを使うように助言する。:Bさんは紙おむつを使いたくないと話しています。母親の要望だと伝えて紙おむつを勧めるのは本人の意思を軽んじる対応で、下着を汚さずに排泄するという目標とも合いません。
- 4ポータブルトイレを設置し,そこで排泄をするように誘導する。:Bさんは見守りがあればトイレで排泄できる力をもっています。ポータブルトイレに誘導すると、すでにある力を使わなくなり、トイレでの自立という方向から外れます。
- 5排泄に関する行為を,全介助にする。:排泄の行為をすべて介助すると、Bさんが自分でできる部分まで奪い、自立とは逆の方向に進みます。羞恥心への配慮も欠け、本人の自信をさらに失わせるおそれがあります。
出典:第37回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題113。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)