第36回 問題121
総合問題
次の事例を読んで,問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事 例〕
Eさん(34歳,女性,障害支援区分3)は,特別支援学校の高等部を卒業後,週2回,生活介護を利用しながら自宅で生活している。Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)で不随意運動があり,首を振る動作が見られる。
食事は首の動きに合わせて,自助具を使って食べている。食事中は不随意運動が強く,食事が終わると,「首が痛い,しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。
また,お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが,コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて,お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。
Eさんは,生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。そこでEさんは,「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
Eさんがお茶を飲むときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1吸い飲みに変更する。
- 2ストローつきコップに変更する。
- 3重いコップに変更する。
- 4コップを両手で持つように伝える。
- 5全介助を行う。
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✓ これが正解2ストローつきコップに変更する。
解説
こぼれにくいストローつきコップに変更します。
事例の決め手は、Eさんがお茶を取っ手つきのコップで飲んでいるものの、口元に運ぶまでにこぼれるようになってきたこと、そして日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて、お茶が上手に飲めなくなったことを気にしていることです。
ストローつきコップに変更すれば、コップを口元まで持ち上げる動作が少なくなり、不随意運動があってもこぼれにくくなります。Eさんが自分の力で飲み続けられるため、自分のことは自分でやりたいという思いも尊重できます。困りごとを解決しながら自立を保てる、最も適切な対応です。
介助者に頼る方法や、本人の努力に任せる方法では、Eさんの思いと困りごとの両方に応えることはできません。
見分け方として、自分でやりたいという本人の思いがある事例では、自立を保ちながら困りごとを解決できる道具の工夫を選びましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1吸い飲みに変更する。:吸い飲みは、寝た姿勢の人などに介助者が口元へ運んで飲ませるときによく使われる道具です。自分で飲みたいEさんが自分で使うには向かず、首を振る動きがあると口元に固定しにくい点でも適していません。
- 3重いコップに変更する。:重いコップにすると、重さで手の揺れが多少落ち着くことはあっても、口元まで持ち上げる動作は変わらず、その途中でこぼれる問題は残ります。持ち上げる負担も大きくなります。
- 4コップを両手で持つように伝える。:両手で持つよう伝えても、自分の意思とは関係なく体が動く不随意運動は抑えられません。口元まで運ぶ途中でこぼれるという困りごとは解決せず、本人の努力に頼る対応になってしまいます。
- 5全介助を行う。:全介助にすると、自分のことは自分でやりたいというEさんの思いを否定し、自分で飲む力を使う機会も奪ってしまいます。道具を工夫すれば自分で飲める段階で選ぶ対応ではありません。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題121。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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