第110回 午前 問52
公衆衛生看護管理論
避難行動要支援者に関する問題
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
人口5万人のA市には高齢者が多い地域があり、災害が発生した場合に自ら避難することが困難な住民が多数発生することが懸念されている。A市では以前に避難行動要支援者の名簿を作成し、個別避難計画の作成も進んでいるが、その後に市内で転居した住民も多く、新たに障害や難病の認定を受けた住民も少なくない。このため、改めて住民の実態を確認して災害に備えることにした。
A市における避難行動要支援者名簿の説明で正しいのはどれか。
- 1個別の避難計画が作成されている住民は名簿から除外する。
- 2名簿に市が記載すべき事項について法律による規定はない。
- 3災害の発災前に名簿の情報を利用できるのはA市職員に限られる。
- 4ハザードマップにおける危険地域から安全な地域へ転居している住民は名簿から除外する。
- 5避難行動要支援者の把握のため県の保健所に対し難病患者情報の提供を求めることができる。
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✓ これが正解5避難行動要支援者の把握のため県の保健所に対し難病患者情報の提供を求めることができる。
解説
名簿作成に必要な限度で、市は県に難病患者の情報を求められます。
避難行動要支援者名簿は、災害対策基本法に基づき、市町村長が、要配慮者のうち災害時に自ら避難することが困難で、特に支援を要する人を把握して作成するものです。同法第49条の10は、名簿の作成を市町村長に義務づけるとともに、名簿の作成に必要があると認めるときは、関係都道府県知事その他の者に対して、要配慮者に関する情報の提供を求めることができると定めています。難病患者の情報は県の保健所が医療費助成の事務などで把握しているため、A市が県の保健所に情報の提供を求めることができる、という記述は正しい内容です。
ほかの記述を確かめると、個別避難計画は名簿に載っている人について作成するもので、計画ができたからといって名簿から外すことはありません。名簿に記載する事項は、同条第2項で、氏名、生年月日、性別、住所又は居所、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由などと法律で定められています。発災前の名簿情報は、同法第49条の11第2項により、本人の同意を得て(条例に特別の定めがある場合を除く)、消防機関、都道府県警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織などの避難支援等関係者に提供されます。また、要支援者かどうかは自ら避難することが困難かどうかで判断し、安全な地域へ転居したことだけを理由に除外するものではありません。
覚え方として、名簿の作成は市町村長の義務、記載事項は法定、平常時の提供は本人の同意が原則、と押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1個別の避難計画が作成されている住民は名簿から除外する。:個別避難計画は、名簿に掲載された人ごとに、だれがどのように避難を支援するかを具体的に定めるものです。計画を作ったことで名簿から外すと、名簿と計画の対応が崩れてしまいます。
- 2名簿に市が記載すべき事項について法律による規定はない。:名簿に載せる事項として、氏名、生年月日、性別、住所、連絡先、避難支援等を必要とする事由などが法律に列挙されています。法律による規定がないという記述は誤りです。
- 3災害の発災前に名簿の情報を利用できるのはA市職員に限られる。:平常時でも、本人の同意があれば、名簿情報を消防機関や警察、民生委員、自主防災組織など避難支援等に携わる関係者に提供することになっています。市職員に限られるわけではありません。
- 4ハザードマップにおける危険地域から安全な地域へ転居している住民は名簿から除外する。:要支援者に当たるかどうかは、自力で避難するのが難しいかどうかで決まります。危険の少ない地域へ移り住んでも、避難に手助けが要る状態は変わらないので、それだけで除外はしません。
出典:第110回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問52(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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