平成29年度 春期 午前Ⅱ 問5
システム監査
監査報告書に関する記述
システム監査基準(平成16年)に基づいて作成されたシステム監査報告書に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア助言型報告書の場合,コントロールの改善を目的として問題点を検出・提示するためにシステム監査を実施した旨を記載してはならない。
- イ助言型報告書の場合,システム監査人と被監査部門の責任区別の存在は当然であるが,保証型報告書とは異なり,責任区別にあえて言及する必要はない。
- ウ保証型報告書の場合,監査意見が監査証拠を評価した結果得られた根拠に基づく保証である旨を記載する必要はない。
- エ保証型報告書の場合,システム監査人は自らが実施した監査の方法と結論だけに責任を負う旨を記載してはならない。
答えと解説を見る
✓ これが正解イ助言型報告書の場合,システム監査人と被監査部門の責任区別の存在は当然であるが,保証型報告書とは異なり,責任区別にあえて言及する必要はない。
解説
助言型報告書では、責任区別にあえて言及しなくてよいとされます。
設問が引く平成16年のシステム監査基準では、システム監査に保証を目的とするものと助言を目的とするものがあり、報告書に書くべき事項も目的によって変わります。見分ける軸は、その報告書が読み手に何を約束するかです。保証型の報告書は、監査対象が適切であることを保証するので、その保証が監査証拠に基づく根拠を持つことや、監査人がどこまで責任を負うかをはっきり書く必要があります。一方、助言型の報告書は改善のための問題点を示すもので、保証を与えるものではありません。そのため、監査人と被監査部門の責任区別は当然の前提としつつ、保証型のように改めて言及する必要はないとされます。保証型は根拠と責任範囲を明記、助言型は改善目的を明記、と整理すると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア助言型報告書の場合,コントロールの改善を…:助言型の報告書では、コントロールの改善を目的として問題点を検出し提示するために監査を行った旨を書くことで、保証を与える報告書ではないと読み手に伝えます。この旨を記載してはならないという説明は、向きが逆です。
- ウ保証型報告書の場合,監査意見が監査証拠を…:保証型の報告書は監査対象について保証を与えるものなので、その意見が監査証拠を評価して得た根拠に基づくことを示す必要があります。根拠に基づく旨を書かなくてよいとすると、保証の裏付けが読み手に伝わりません。
- エ保証型報告書の場合,システム監査人は自ら…:保証型の報告書では、監査人が責任を負うのは自ら実施した監査の方法と結論である旨を示し、被監査部門の責任と区別します。この旨を記載してはならないとする説明は、責任の範囲を示す必要性と逆になっています。
この問題の用語
- システム監査基準システム監査を行う人が守るべき進め方をまとめた指針。誰がやっても同じ水準で点検できるように、手順と心構えを定めています。
- 監査報告書監査の結果と意見、改善の勧告をまとめて伝える文書のことです。原案は相手と意見交換し、事実誤認がないかを確かめます。
- 監査証拠監査人の判断を裏づける記録のこと。被監査部門から入手した運用記録などがこれで、監査人自身が作った計画書や議事録は含みません。
- コントロール目的どおりに業務が進むように組み込む、決まりや点検、仕組みのことです。監査では、その整備と運用の状況が評価されます。
- 改善悪いところを直して、より良い状態にすること。一度で終わらせず、計画・実行・評価・見直しを繰り返して続けるのが基本です。
- 監査人システム監査を行う人。作る側や運用する側から独立した立場を保ち、自分では作らずに規程や記録を見て確かめます。
- 被監査部門監査を受ける側の部門のことです。求められた調査には応じますが、存在しない証憑を作ったり、監査の項目を自分で決めたりはしません。
- 監査意見監査人が調べた結果として述べる、判断のことをいいます。監査手続の実施記録である監査調書が、その根拠になります。
出典:平成29年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問5
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問7:システム監査基準に関する問題(監査報告書)
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問4:システム監査基準に関する問題(コントロール)
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問1:“監査プログラム”の定義(監査証拠)
- 平成30年度 春期 午前Ⅱ 問5:監査証拠に関する問題(監査意見)
- 平成30年度 春期 午前Ⅱ 問4:改善勧告に関する問題(被監査部門)
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)