第37回 問題113
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
事例を読んで,A市社会福祉協議会がソーシャルワーク実践の対象としたシステムとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
A市社会福祉協議会では,市内の視覚障害者から,行政機関が発信する生活や災害に関する情報が十分に届いていないため困っているという相談が相次いだ。こうした中,A市社会福祉協議会は行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達経路が不十分であり,その改善が必要であることをA市に要望した。それを受け,A市は視覚障害者への情報提供支援として,点字や音声による情報提供や広報を開始し,情報が広く行き届くようになった。
- 1ミクロシステムのみ
- 2メゾシステムのみ
- 3マクロシステムのみ
- 4ミクロシステムとメゾシステム
- 5ミクロシステムとマクロシステム
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✓ これが正解5ミクロシステムとマクロシステム
解説
個々の相談への対応はミクロ、市の情報提供の仕組みの改善はマクロです。
ソーシャルワークの対象は、ミクロ・メゾ・マクロの3つのレベルでとらえられます。ミクロは個人や家族、メゾはグループや学校・職場・地域の組織など個人と社会の中間にある集まり、マクロは地域社会全体や制度・政策です。事例のどの働きかけがどのレベルに当たるかを順に確かめます。
事例の出発点は、市内の視覚障害者から、行政機関の生活や災害の情報が届かず困っているという相談が相次いだことです。社会福祉協議会が一人ひとりの困りごとを受け止めたこの関わりは、ミクロシステムへの働きかけです。
次に、社会福祉協議会は、行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達の経路が不十分だと判断し、その改善をA市に要望しました。これを受けて市は点字や音声による情報提供や広報を始め、市全体の情報提供の仕組みが変わりました。これは制度や施策という社会全体に関わるレベル、つまりマクロシステムへの働きかけです。したがって、ミクロシステムとマクロシステムの組み合わせが最も適切です。
見分け方として、相談した個人はミクロ、施策や制度を変えたらマクロ、間にある集団や組織に働きかけたらメゾ、と働きかけた相手の大きさで判断すると迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ミクロシステムのみ:個々の視覚障害者の相談を受けたことはミクロの関わりですが、社会福祉協議会はそこで終わらず、市に要望して情報提供の仕組みを変えています。個人への対応だけでは、事例の働きかけの全体を説明できません。
- 2メゾシステムのみ:メゾは、家族と社会の中間にあるグループや地域の組織などを指します。事例で働きかけた相手は、相談してきた個人と市の施策なので、メゾだけを対象としたとはいえません。
- 3マクロシステムのみ:市の施策を変えた部分はマクロに当たりますが、その出発点は視覚障害者一人ひとりからの相談でした。個人の困りごとを受け止めた関わりが抜け落ちてしまうので、マクロだけでは不十分です。
- 4ミクロシステムとメゾシステム:個々の相談への対応はミクロに当たりますが、市が点字や音声による情報提供を始めたのは制度や施策の変更です。これは中間の集団への働きかけではなく、社会全体に関わるマクロの働きかけです。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題113。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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