情報資産管理とリスクアセスメント・リスク対応|令和8年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目B 問15
A社は従業員300名の商社である。総務部が定めたA社の文書管理ルールを図1に示す。
図1 文書管理ルール(抜粋)
〔文書の機密区分〕
極秘 :経営に関する重要な文書であり,経営企画に関わる者だけに開示する。経営企画書など。
関係者外秘 :特定の関係者だけに開示する。議事メモ,顧客情報など。
社外秘 :社内だけに開示する。クレーム情報,社内報など。
公開 :社外に公開可能なもの。商品カタログなど。
〔機密区分のラベリング〕
・文書を作成した部署の責任者が,機密区分を判断する。
・“極秘”,“関係者外秘”及び“社外秘”の文書は,機密区分をその文書のヘッダー部に明記する。
・“極秘”と“関係者外秘”に関しては開示範囲を明示するため,“役員だけ 極秘”や“〇〇部だけ 関係者外秘”という形式で明記する。
〔文書の保管〕
・“極秘”及び“関係者外秘”の紙の文書は,使わないときや利用中に離席するときはキャビネットに保管する。キャビネットは常時施錠し,関係者だけが解錠できるようにする。
〔文書の廃棄〕
・“極秘”,“関係者外秘”及び“社外秘”の紙の文書を廃棄する際は,シュレッダーで細断する。
総務部の情報セキュリティリーダーであるSさんは,各部に対し年次の自己点検を指示した。その結果を基に,図1のルールに沿って文書を取り扱っているかを確認するために,A社の一部の従業員にヒアリングしたところ,図2に示す事例が得られた。
図2 SさんがA社の従業員へのヒアリングによって得た事例
(1) 営業部のBさんの大学の後輩であるCさんは,A社の入社試験を受ける予定なので,BさんはCさんに社内報を見せた。
(2) “営業部だけ 関係者外秘”の議事メモは,営業部員だけが解錠できるキャビネットに保管している。不要となったものは毎週水曜日に,シュレッダーで細断して廃棄している。
(3) 昨年営業部に異動した元人事部のDさんが,営業部の事業計画の参考にするため,人事部のEさんから“人事部だけ 関係者外秘”の来年度の採用計画を見せてもらった。
(4) 経営企画部のGさんは,来期の経営企画書のうち一部の作成を指示されていたが,机の上の本立てに最終原稿を差し込んで会議に向かった。
(5) 人事部のIさんは就職セミナーで,営業部から借りた商品カタログを参加者に見せながら会社紹介をした。
Sさんは図2の事例について,図1に沿っているかどうかを評価し,表1のとおりまとめた。
表1 ヒアリングで得た事例に対する評価
| 図2の項番 | 評価 |
|---|---|
| (1) | (省略) |
| (2) | [a1] |
| (3) | [a2] |
| (4) | [a3] |
| (5) | (省略) |
注記 評価は,図1に沿っていれば“〇”,沿っていなければ“×”とする。
設問 表1中の[a1]~[a3]に入れる評価の適切な組合せを解答群の中から選べ。
- a1=〇 / a2=〇 / a3=〇
- a1=〇 / a2=〇 / a3=×
- a1=〇 / a2=× / a3=〇
- ✓ これが正解a1=〇 / a2=× / a3=×
- a1=× / a2=〇 / a3=〇
- a1=× / a2=〇 / a3=×
- a1=× / a2=× / a3=〇
- a1=× / a2=× / a3=×
解説
ラベルの開示範囲と、置き場所の決まりに当てて決めます。
科目Bは、事例文のどこを読めば決まるかを押さえるのが要点です。この設問は図2の事例を評価しますが、突き合わせる先はすべて図1の中にあります。最初に押さえるのは〔機密区分のラベリング〕の一行で、そこには「“極秘”と“関係者外秘”に関しては開示範囲を明示するため,“役員だけ 極秘”や“〇〇部だけ 関係者外秘”という形式で明記する。」とあります。つまりラベルは区分名だけでなく、どこまで見せてよいかを一緒に背負っています。 続けて〔文書の保管〕と〔文書の廃棄〕を読むと、紙の文書をどこに置き、どう捨てるかが区分ごとに決まっています。ここまでで図1側の材料はそろいます。 そこで一つの事例を評価する手順は、次の二段になります。第一段は、文書に付いたラベルを読むこと。ラベルに部署の名前が入っていれば、それがそのまま許される相手の一覧です。第二段は、その事例で文書に何をしたのかを一語に言い直すこと。見せたのか、置いたのか、捨てたのか。見せたのならラベルの範囲と相手を比べ、置いたのなら〔文書の保管〕と、捨てたのなら〔文書の廃棄〕と比べます。 この手順で効いてくる細かい点が二つあります。一つは、人が異動しても文書のラベルは書き換わらないこと。もう一つは、〔文書の保管〕が使わないときだけでなく、利用中に席を外すときも同じ扱いを求めていることです。図2にはどちらの点も試す事例が置かれています。 読む順序をもう一度。図1の三つの節を先に頭へ入れ、次に図2の各事例からラベルと行為を取り出し、最後に節の求めへ当てる。表1で評価が省略されている行は比べる必要がないので、見るのは残りだけです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 議事メモを扱った事例に対する評価です。置き場所は営業部員だけが解錠できるキャビネットで、〔文書の保管〕が求める常時施錠と関係者だけの解錠にあてはまります。捨て方も細断で、〔文書の廃棄〕の求めと一致します。二つとも図1どおりなので、沿っている側の評価になります。
- 採用計画を見せてもらった事例に対する評価です。ラベルが背負っている開示範囲は人事部で、見た側は現在は営業部に所属しています。異動しても文書のラベルは書き換わらないため、範囲の外の人へ渡したことになります。目的が業務であっても図1の求めは変わりません。
- 経営企画書の最終原稿を机の上の本立てに差し込んで席を外した事例に対する評価です。〔文書の機密区分〕で経営企画書は最も厳しい区分の例に挙がっており、〔文書の保管〕は離席時もキャビネットに入れることを求めています。席を外すときに机上へ残さないというクリアデスクの考え方が、そのまま決まりになっている箇所です。
この問題に関係する言葉
- クリアデスク机の上に書類や記憶媒体を置いたままにしない決まりです。帰宅時に引き出しへしまうのが典型で、持ち去りや盗み見を防ぎます。
出典:令和8年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目B 問15
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