第28回 問題5
精神医学と精神医療
Aさん(50歳,女性)は,3週間前から抑うつ気分,意欲の低下,集中力の低下,早朝覚醒,食欲低下,易疲労感を認め,好きだったテレビ番組も楽しめなくなった。この状態に苦しみ,精神科クリニックを受診した。
次のうち,Aさんの症状に対して効果が期待できる向精神薬として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1第二世代抗精神病薬
- 2SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- 3抗てんかん薬
- 4アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
- 5第一世代抗精神病薬
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✓ これが正解2SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
解説
うつ病の症状がそろうAさんには、SSRIが期待できる薬です。
事例の症状から病気を見立て、それに合う薬の種類を選ぶ問題です。決め手はAさんの症状の組合せと続いている期間です。抑うつ気分、意欲や集中力の低下、早朝覚醒、食欲低下、疲れやすさに加え、好きだったテレビ番組も楽しめないという興味や喜びの喪失があり、それが3週間続いています。これらは、うつ病(大うつ病性障害)の典型的な症状のまとまりです。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は抗うつ薬の一種で、神経の間でセロトニンが再び取り込まれるのを妨げて、その働きを高めると説明されます。うつ病の薬物療法で広く用いられる薬の一つです。
ほかの肢は、主に別の病気に用いられる薬です。抗精神病薬は統合失調症などの幻覚や妄想、抗てんかん薬はてんかんの発作、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬はアルツハイマー型認知症に用いられます。
したがって、Aさんの症状に効果が期待できる向精神薬として最も適切なのはSSRIです。見分けるときは、まず症状から病名を見立て、その病名に対応する薬の群を選ぶ順で考えると迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1第二世代抗精神病薬:第二世代抗精神病薬は、主に統合失調症の幻覚や妄想などに用いられる薬です。気分の病気に使われる場面もありますが、Aさんのような典型的なうつ病の症状に対して最初に挙げる薬ではありません。
- 3抗てんかん薬:抗てんかん薬は、てんかんの発作を抑えるための薬です。一部は双極性障害の気分の波を安定させる目的で用いられますが、Aさんの抑うつ症状に対して最も適切な薬とはいえません。
- 4アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー型認知症の進行を緩やかにする目的で用いられる薬です。Aさんの症状は認知症ではなく、うつ病の症状のまとまりです。
- 5第一世代抗精神病薬:第一世代抗精神病薬は、統合失調症の幻覚や妄想に用いられてきた従来型の薬で、手のふるえなどの副作用が出やすいとされます。うつ病の症状に対して用いる薬ではありません。
出典:第28回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題5。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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