第26回 問題2
精神医学と精神医療
アルコール依存症の治療に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1向精神薬の使用は禁忌である。
- 2本人の抱える問題は家族が代わって対処することが望ましい。
- 3断酒会は,匿名で参加する自助グループである。
- 4抗酒剤は,服用後に飲酒すると頭痛や嘔吐などを起こすことで飲酒を抑止する。
- 5合併症のウェルニッケ脳症は断酒をすれば改善する。
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✓ これが正解4抗酒剤は,服用後に飲酒すると頭痛や嘔吐などを起こすことで飲酒を抑止する。
解説
抗酒剤は服用後の飲酒で不快な反応を起こし、飲酒を抑えます。
アルコール依存症の治療は、断酒を続けるための薬物療法、心理社会的な治療、自助グループへの参加を組み合わせて進めるのが基本です。各記述は、治療法や自助グループの性質を正しく言い表しているかで判断します。
抗酒剤(ジスルフィラムやシアナミドなど)は、アルコールを分解する途中でできるアセトアルデヒドの処理を妨げる薬です。服用中に飲酒すると、顔のほてり・頭痛・吐き気・嘔吐などの強い不快な反応が起き、その体験を避けたい気持ちが飲酒の抑止につながります。本人が断酒を続ける意思をもったうえで使う補助の薬と位置づけられており、この記述が正しい内容です。
他の記述について、断酒会は実名で参加する日本の自助グループで、匿名で参加するのはAA(アルコホーリクス・アノニマス)の側です。また、離脱症状の時期に抗不安薬を用いるなど向精神薬は治療に使われ、家族が本人の問題を肩代わりする関わりは、かえって飲酒を続けやすくするとされます。
覚え方として、断酒会は実名、AAは匿名、抗酒剤は飲酒すると苦しくなる薬、と3点を対にして押さえると区別しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1向精神薬の使用は禁忌である。:離脱症状の時期には抗不安薬などで症状を和らげることがあり、断酒を支える薬も使われます。向精神薬を一律に使ってはならないという決まりはなく、禁忌とする記述は誤りです。
- 2本人の抱える問題は家族が代わって対処することが望ましい。:家族が借金の後始末や職場への言い訳を引き受けると、本人が飲酒の結果に向き合う機会がなくなります。こうした肩代わりはイネイブリングと呼ばれ、回復の妨げになると考えられています。
- 3断酒会は,匿名で参加する自助グループである。:断酒会は日本で生まれた自助グループで、実名で参加し、家族の参加も重んじるのが特徴です。匿名での参加を原則とするのはAAの側なので、この記述は二つのグループを取り違えています。
- 5合併症のウェルニッケ脳症は断酒をすれば改善する。:ウェルニッケ脳症はビタミンB1の欠乏で起こる急性の脳の障害で、速やかなビタミンB1の補給が必要です。断酒だけで改善するものではなく、治療が遅れるとコルサコフ症候群に移行することがあります。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題2。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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