第27回 問題12
現代の精神保健の課題と支援
A精神科病院に長期入院していたBさん(64歳)は,地域移行支援を受けた後,1年前からC生活介護事業所を利用しながら地域のアパートで一人暮らしをしている。Bさんの食生活は整っており,血圧・血糖値・コレステロールや中性脂肪には問題がなかった。しかし近頃は,長年の運動不足から筋力が低下したことによって,短時間の歩行でも息切れをし,足が上がりにくくC事業所内の階段もすぐには上れない状態が目立ち始めた。そこでC事業所では,Bさんやほかの利用者の状況も鑑み,運動プログラムを取り入れ,Bさんにも参加してもらうよう促すことにした。
次のうち,Bさんの状態を表す症候群として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1コルサコフ症候群
- 2メタボリック症候群
- 3ロコモティブ症候群
- 4悪性症候群
- 5ガンザー症候群
答えと解説を見る
✓ これが正解3ロコモティブ症候群
解説
運動器の衰えで歩行や階段が難しい状態はロコモティブ症候群です。
この事例の決め手は、Bさんの体の状態について書かれた具体的な様子です。食生活は整っており、血圧・血糖値・コレステロールや中性脂肪には問題がないこと、その一方で、長年の運動不足から筋力が落ち、短時間の歩行でも息切れし、足が上がりにくく階段もすぐに上れない、という点に注目します。
ロコモティブ症候群は、筋肉・骨・関節などの運動器の障害や衰えによって、立つ・歩くといった移動の機能が低下した状態をいいます。日本整形外科学会が提唱した概念で、ロコモとも呼ばれます。進むと介護が必要になる危険が高まるため、運動による予防や改善が勧められます。Bさんのように、長期入院で体を動かす機会が少なかった人が地域生活に移った後、運動器の衰えが目立つことがあり、C事業所が運動プログラムを取り入れたのはこの状態への対応といえます。
一方、メタボリック症候群は内臓脂肪の蓄積に高血圧・高血糖・脂質の異常が重なった状態なので、検査値に問題のないBさんには当てはまりません。
見分け方は、検査値の異常が中心ならメタボリック、移動の機能の衰えが中心ならロコモティブ、と分けることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1コルサコフ症候群:コルサコフ症候群は、ビタミンB1の欠乏などで起こり、記憶の障害や作り話、見当識の障害が目立つ状態です。Bさんの事例は記憶ではなく筋力や歩行の問題なので当てはまりません。
- 2メタボリック症候群:お腹まわりの脂肪に加えて血圧や血糖、脂質の値が基準を外れることで判断される状態です。事例ではそれらの検査値がどれも問題なしとされており、この症候群とは判断できません。
- 4悪性症候群:悪性症候群は、抗精神病薬などの使用中に高熱、筋肉のこわばり、意識の障害などが急に現れる重い副作用です。運動不足による筋力低下とは別の状態です。
- 5ガンザー症候群:ガンザー症候群は、簡単な質問にわざと的外れな答えを返すように見える的外れ応答が特徴で、拘禁などの状況で知られる状態です。歩行や階段の問題とは関係がありません。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題12。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)