第27回 問題4
精神医学と精神医療
次の記述のうち,うつ病を有する人に特徴的な妄想による発言として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1「誰かに盗聴されている」
- 2「家族が預金通帳を盗んだ」
- 3「過去に罪を犯してしまった。今その罰を受けている」
- 4「自分は神だから死ぬことはない」
- 5「自分は高貴な生まれである」
答えと解説を見る
✓ これが正解3「過去に罪を犯してしまった。今その罰を受けている」
解説
うつ病では、自分を責める罪業妄想が特徴的にみられます。
うつ病の妄想は、気分の落ち込みに沿った内容になりやすいのが特徴です。自分を過小に、悪く、罪深くとらえる方向の内容で、罪業妄想・貧困妄想・心気妄想の三つがよく知られています。
正解は、過去に罪を犯してしまい、今その罰を受けているという発言です。実際には罪にあたることをしていないのに、自分はとんでもない過ちをした、罰を受けて当然だと確信してしまう内容で、罪業妄想の典型です。うつ病の人がこのように強い自責を語るときは、希死念慮の有無にも注意が向けられます。
ほかの肢は、うつ病の気分とは向きが合わない内容です。誰かに盗聴されているという被害的な内容は統合失調症などで、家族が通帳を盗んだという内容は認知症の物盗られ妄想として、また自分を偉大な存在とみなす内容は躁状態などでみられる誇大的な妄想として知られています。
覚え方は、うつ病の妄想は自分を小さく悪く見る方向、躁状態の妄想は自分を大きく見る方向、と向きで分けることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「誰かに盗聴されている」:誰かに盗聴されているという内容は、他者から害を加えられていると確信する被害妄想にあたり、統合失調症などでよくみられます。自分を責める方向の内容ではないため、うつ病に特徴的とはいえません。
- 2「家族が預金通帳を盗んだ」:身近な家族が大切な物を盗んだと確信する内容は、物盗られ妄想と呼ばれ、アルツハイマー型認知症の初期によくみられます。うつ病に特徴的な妄想ではありません。
- 4「自分は神だから死ぬことはない」:自分は神だから死なないという内容は、自分の力を実際より大きくとらえる誇大妄想にあたり、躁状態などでみられます。気分が沈むうつ病とは向きが逆です。
- 5「自分は高貴な生まれである」:自分は高貴な生まれだという内容は、血筋を誇大にとらえる血統妄想で、誇大的な妄想の一つです。自分を罪深く小さくとらえるうつ病の妄想とは方向が異なります。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題4。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)