第38回 問題115
総合問題
次の事例を読んで,問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事 例〕
Aさん(66歳,女性)は,一人息子と二人で暮らしている。会社の趣味サークルや地域活動に熱心に参加してきた。半年前に,長年勤めた仕事を定年退職して,継続雇用で週2日の勤務になった。その頃から不眠を訴え,疲れやすく気持ちが落ち込む日が増えてきた。しばらくすると,睡眠中に大声をあげたり,息子の部屋までふらふらと歩いてきたり,自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話したりするようになった。近隣の大学病院を受診した結果,手足の震え,小刻みな歩行,顔のこわばりなどがみられ,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の診断を受けた。
Aさんは,趣味活動や自宅で息子と過ごすことを優先し,これからの生活を楽しみたいと考えて,仕事を辞めた。そして,安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しようと考えた。Aさんは要支援2の認定を受けて,介護予防通所リハビリテーションの利用を始めた。
ある日,送迎のときに,介護予防通所リハビリテーション事業所のB介護福祉職は,息子から,日々の症状に変動がある母を自宅で介護をするときにどのようなことに注意すべきか,と聞かれた。B介護福祉職は事業所で多職種ミーティングを行ってから返答することにした。
次の記述のうち,B介護福祉職の息子への助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1視覚的環境からの影響を防ぐために,自室のカーテンを無地のものに変更する。
- 2下肢筋力を維持するために,毎日決まった時間に同じ運動をする。
- 3転倒を防止するために,Aさんの外出の機会を減らす。
- 4夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために,直接照明を用いる。
- 5着脱をしやすくするために,ボタン止めの衣服を使用する。
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✓ これが正解1視覚的環境からの影響を防ぐために,自室のカーテンを無地のものに変更する。
解説
花柄が動いて見える幻視を防ぐため、カーテンを無地に替える助言が適切です。
この事例の決め手は、Aさんが自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話していること、そして息子が日々の症状に変動がある母の介護で注意すべきことを尋ねていることです。レビー小体型認知症では、実際にはないものが見える幻視や、模様などを別のものに見間違える錯視が起こりやすいとされます。
花柄のような模様は、虫や人の顔などに見えて幻視や錯視のきっかけになることがあります。カーテンを無地のものに替えると、視覚的な刺激が減り、Aさんが怖い思いをする場面を少なくできます。また、レビー小体型認知症の人は、日によって頭の働きや体の動きが大きく変わるため、その日の状態に合わせて活動や介助の量を調整することが大切です。手足の震えなどで細かい手先の動きが難しくなっていることにも配慮が必要です。
したがって、自室のカーテンを無地のものに変更する助言が最も適切です。レビー小体型認知症の人の環境づくりでは、見間違いのもとになる模様や影を減らすことを第一に考えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2下肢筋力を維持するために,毎日決まった時間に同じ運動をする。:レビー小体型認知症の人は、日によって状態が大きく変わります。毎日決まった時間に同じ運動を行うよう決めてしまうと、調子の悪い日に無理をさせることになり、体調に合わせた調整ができません。
- 3転倒を防止するために,Aさんの外出の機会を減らす。:外出の機会を減らすと、筋力や体力が落ちてかえって転びやすくなり、人との交流も減ってしまいます。Aさんは趣味や交流を楽しみたいと考えており、本人の希望にも反する助言です。
- 4夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために,直接照明を用いる。:直接照明で強く照らすと、まぶしさや濃い影ができて、見間違いのきっかけになることがあります。夜間の照明は、間接照明などでやわらかく明るさを保つほうが落ち着いて過ごせます。
- 5着脱をしやすくするために,ボタン止めの衣服を使用する。:Aさんには手足の震えがあり、ボタンをとめる細かい手先の動きは難しくなっています。着脱しやすくするには、面ファスナーなどの、ボタン止めより扱いやすい留め具の衣服が向いています。
出典:第38回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題115。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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