令和5年度 午前の部 問18
民法
請負に関する問題
請負に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
〔冊子の注記〕以下の試験問題については、国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用は考慮しないものとして、解答してください。また、第4問から第23問までの試験問題については、商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 目的物の引渡しを要する請負契約においては、報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
イ 目的物の引渡しを要する請負契約においては、請負人が仕事を完成した後であっても、その目的物の引渡しが完了するまでは、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。
ウ 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人は、仕事を完成した後であっても、報酬の支払がされるまでは、注文者の破産手続開始を理由として請負契約を解除することができる。
エ 請負人が注文者に引き渡した目的物の品質が請負契約の内容に適合しない場合には、その不適合が注文者の供した材料の性質によって生じたものであり、かつ、請負人がその材料が不適当であることを知らなかったときであっても、注文者は、請負人に対して、履行の追完の請求をすることができる。
オ 請負契約が仕事の完成前に解除された場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
- 1アウ
- 2アオ
- 3イエ
- 4イオ
- 5ウエ
答えと解説を見る
✓ これが正解2アオ
解説
アは報酬の支払時期、オは割合的報酬で正しく、イ・ウ・エは誤り
請負について、平成29年改正後の民法第632条以下の規定で判断します。正しいものを2つ選びます。
アは正しい記述です。民法第633条は、報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならないと定めています(引渡しを要しないときは別の規定を準用)。
イは誤りです。第641条は、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができると定めています。この任意解除ができるのは完成前に限られ、仕事が完成した後は、引渡しが済んでいなくても解除できません。
ウも誤りです。第642条第1項は、注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は契約の解除をすることができるとしつつ、ただし書で、請負人による解除は仕事を完成した後はできないと定めています。完成後は報酬債権を破産手続で行使すれば足りるという考え方です。
エも誤りです。第636条は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、注文者は履行の追完の請求などをすることができないと定めています。例外は、請負人がその材料が不適当であることを知りながら告げなかったときです。知らなかった場合は例外に当たらず、追完の請求はできません。
オは正しい記述です。第634条は、請負が仕事の完成前に解除されたときに、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できると定めています。
したがって、アとオを選ぶ組合せが正解です。注文者の任意解除と破産時の請負人の解除は、どちらも完成までが期限、と同じ線で覚えると混乱しにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1アウ:アとウを選ぶ組合せです。アは引渡しと同時に報酬を支払う第633条どおりで正しいのですが、ウは仕事の完成後も請負人が注文者の破産を理由に解除できるとしていて、第642条第1項ただし書に反します。
- 3イエ:イとエを選ぶ組合せですが、完成後でも引渡し前なら注文者が任意解除できるとするイも、注文者の材料による不適合で追完を求められるとするエも、条文の結論と逆です。
- 4イオ:イとオを選ぶ組合せです。オは解除された請負で可分な部分に利益の割合に応じた報酬を認める第634条どおりで正しいものの、イは任意解除の期限を引渡し完了までに延ばしていて誤りです。
- 5ウエ:ウとエを選ぶ組合せです。完成後に請負人が解除できるとするウも、材料が不適当と知らなかった請負人に追完を求められるとするエも誤りで、正しい記述が1つも含まれていません。
出典:令和5年度 司法書士試験 午前の部(法務省)問18(改変:1問ずつ解ける形に加工(肢の番号をそろえ、冊子の注記を各問に複写し))。解説は当サイト独自のもので、法務省とは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)