第38回 問題6
医学概論
事例を読んで,次のうち,本症例で発生した可能性が最も高い不整脈を1つ選びなさい。
〔事 例〕
会社員のAさん(54歳,男性)は,糖尿病で診療所の外来に通院している。趣味のテニスをしている最中に,突然意識を失って倒れた。同僚が119番通報し,呼吸を確認したところ死戦期呼吸(下顎呼吸)を認めたため,直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を開始した。施設職員が自動体外式除細動器(AED)を持参して除細動を実施し,Aさんの意識は回復した。その後,救急隊により病院へ搬送された。
- 1徐脈
- 2期外収縮
- 3心室細動
- 4洞不全症候群
- 5房室ブロック
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✓ これが正解3心室細動
解説
突然の意識消失とAEDの除細動で回復した経過から、心室細動が考えられます。
事例の決め手は、運動中に突然意識を失い、死戦期呼吸(下顎呼吸)がみられたこと、そしてAED(自動体外式除細動器)による除細動で意識が回復したことです。AEDは心電図を自動で解析し、電気ショックが必要な不整脈のときだけ除細動を行う機器です。
心室細動は、心室の筋肉が無秩序に細かく震え、血液を全身に送り出せなくなる不整脈で、数秒で意識を失い、放置すると死に至ります。電気ショックによる除細動の対象となる代表的な不整脈であり、心肺蘇生とAEDの早期使用が救命の鍵とされています。死戦期呼吸は心停止の直後にみられるしゃくりあげるような呼吸で、正常な呼吸ではないため、心停止と判断して胸骨圧迫を始めます。これらの経過から、発生した可能性が最も高いのは心室細動です。
ほかの選択肢に挙がっている不整脈は、脈が遅くなるものや、多くは症状の軽いもので、AEDの電気ショックで意識が戻るという経過とは結びつきにくいものです。
AEDの電気ショックで回復したという経過があれば、まず心室細動を考える、と結びつけておくとよいでしょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1徐脈:徐脈は心拍数が少なくなる状態の総称で、めまいや失神を起こすことはあっても、電気ショックで治すものではありません。AEDの除細動によって意識が回復したという経過とは結びつきません。
- 2期外収縮:期外収縮は、本来のリズムより早いタイミングで心臓が収縮する不整脈で、健康な人にもみられ、多くは動悸を感じる程度で済みます。突然の心停止を起こしてAEDの除細動が必要になる典型ではありません。
- 4洞不全症候群:洞不全症候群は、心臓のリズムをつくる洞結節の働きが落ちて、脈が遅くなったり止まったりする病気です。治療の中心はペースメーカーで、AEDの電気ショックによって回復するものではありません。
- 5房室ブロック:房室ブロックは、心房から心室への電気の伝わりが途切れて脈が遅くなる不整脈です。重いものはペースメーカーの対象になりますが、除細動の電気ショックが効く種類の不整脈ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題6。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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