第37回 問題55
障害者福祉
「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1この法律が施行される前から,障害者基本法に「差別の禁止」の規定があった。
- 2民間事業者の合理的配慮の提供は,努力義務である。
- 3この法律に基づき,市町村障害者虐待防止センターが設けられている。
- 4障害者差別をした事業者には,この法律に基づき科料が科される。
- 5この法律に基づく障害者の定義は,障害者基本法に規定されている障害者の定義より狭い。(注) 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
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✓ これが正解1この法律が施行される前から,障害者基本法に「差別の禁止」の規定があった。
解説
差別の禁止の規定は、差別解消法の施行前から障害者基本法にありました。
障害者差別解消法は、障害者基本法の差別の禁止の考え方を具体化するために2013年に制定され、2016年4月に施行された法律です。障害者基本法には、2004年の改正で障害を理由とする差別の禁止が基本的理念として盛り込まれ、2011年の改正で差別の禁止という見出しの第4条に整理されました。第4条は、何人も障害者に対して障害を理由として差別その他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこと、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮がされなければならないことを定めています。したがって、この法律が施行される前から障害者基本法に差別の禁止の規定があったという記述が最も適切です。
差別解消法は、行政機関等と事業者に対して、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止と、合理的配慮の提供を求めています。合理的配慮の提供は、行政機関等は当初から義務、事業者は当初は努力義務でしたが、2021年の改正が2024年4月1日に施行され、事業者にも義務づけられました。出題の時点では、すでに事業者の合理的配慮の提供は法的義務です。
見分け方は、障害者基本法が理念と差別禁止の大枠を示し、差別解消法がその具体的な仕組み(不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供)を定め、虐待への対応は障害者虐待防止法が受け持つ、という法律ごとの役割分担を押さえることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2民間事業者の合理的配慮の提供は,努力義務…:2021年の法改正が2024年4月1日に施行され、民間事業者による合理的配慮の提供は努力義務から法的義務に改められました。出題の時点ではすでに義務になっており、努力義務とする記述は当たりません。
- 3この法律に基づき,市町村障害者虐待防止セ…:市町村障害者虐待防止センターは、障害者虐待防止法に基づいて市町村が設ける窓口で、虐待の通報や届出の受理、相談などを担います。差別解消法を根拠とする機関ではありません。
- 4障害者差別をした事業者には,この法律に基…:差別解消法は、差別をした事業者に科料を科す仕組みを置いていません。主務大臣による報告の求めや助言・指導・勧告で是正を図り、罰則は報告をしない場合や虚偽の報告をした場合の過料にとどまります。
- 5この法律に基づく障害者の定義は,障害者基…:差別解消法の障害者の定義は、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、障害と社会的障壁により継続的に相当な制限を受ける状態にある人で、障害者基本法と同じ枠組みです。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題55。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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