第26回 問題22
精神保健福祉の原理
次の記述のうち,ソロモン(Solomon, B.)が提唱したソーシャルワーク理論の説明として,正しいものを1つ選びなさい。
- 1システム理論に生態学的な視点を導入し,有機体と環境との相互作用に焦点を合わせた生活モデルを確立した。
- 2クライエントが社会から疎外され,抑圧され,力を奪われていく構造に目を向け,無力な状態からの脱却を目指した。
- 3心理的な側面と社会的な側面の双方を視野に入れて,クライエントを状況の中にある人間として捉えた。
- 4実践の構成要素を示しつつ,問題解決過程が人間のもつコンピテンスの拡大に関わると主張した。
- 5直接的因果論や客観的事実を否定し,過去を重視せず,現在・未来志向の短期的アプローチを主張した。
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✓ これが正解2クライエントが社会から疎外され,抑圧され,力を奪われていく構造に目を向け,無力な状態からの脱却を目指した。
解説
ソロモンは、抑圧された人の無力な状態からの脱却を目指しました。
ソロモン(Solomon, B.)は、1976年の著書でアメリカの黒人コミュニティへのソーシャルワークを論じ、エンパワメントの考え方をソーシャルワークに取り入れた人物として知られています。各記述が、どの理論家の、どのアプローチを説明しているかで判断します。
ソロモンは、差別を受ける集団の人々が、社会の中で否定的な評価を受け続けることで力を奪われ、無力な状態(パワーレスネス)に置かれていると捉えました。そのうえで、本人が自分の力に気付き、それを発揮できるよう支援することをソーシャルワークの目標に据えました。クライエントが社会から疎外・抑圧され力を奪われていく構造に目を向け、無力な状態からの脱却を目指したという記述は、このエンパワメントの考え方を表しています。
他の記述は、生活モデル(ジャーメインら)、心理社会的アプローチ(ホリス)、問題解決アプローチ(パールマン)、解決志向アプローチ(ド・シェイザーら)の説明にあたります。
見分け方として、ソーシャルワーク理論の問では、抑圧・無力・力の回復という語が並べばエンパワメントとソロモン、と鍵になる語と理論家を結び付けて覚えると選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1システム理論に生態学的な視点を導入し,有機体と環境との相互作用に焦点を合わせた生活モデルを確立した。:システム理論に生態学的な視点を取り入れ、人と環境の相互作用に注目した生活モデルは、ジャーメインとギッターマンが体系化したものです。抑圧の構造からの脱却を論じたソロモンの理論ではありません。
- 3心理的な側面と社会的な側面の双方を視野に入れて,クライエントを状況の中にある人間として捉えた。:心理的側面と社会的側面の双方を視野に入れ、クライエントを状況の中の人として捉えたのは、心理社会的アプローチを体系化したホリスです。力を奪われた状態に焦点を当てたソロモンとは異なります。
- 4実践の構成要素を示しつつ,問題解決過程が人間のもつコンピテンスの拡大に関わると主張した。:実践の構成要素を示し、問題解決の過程が人のもつ力を高めると考えたのは、問題解決アプローチのパールマンです。構成要素として人・問題・場所・過程の4つのPを挙げたことで知られます。
- 5直接的因果論や客観的事実を否定し,過去を重視せず,現在・未来志向の短期的アプローチを主張した。:原因探しや過去の分析を重視せず、解決に役立つ現在と未来に焦点を当てる短期的なアプローチは、ド・シェイザーやバーグらによる解決志向アプローチの特徴です。ソロモンの理論とは別のものです。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題22。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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