第27回 問題23
精神保健福祉の原理
次の記述のうち,精神保健福祉士法成立の社会的背景として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1年間自殺者が3万人を超え続け,国民のメンタルヘルスが社会問題化した。
- 2頻発する自然災害に対し,災害派遣精神医療チーム(DPAT)の必要性が高まった。
- 3諸外国と比べて精神科の入院医療を受けている者の割合が高く,入院期間も長期にわたっていた。
- 4「障害者権利条約」を批准するため,国内法の整備が急がれた。
- 5「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において,「入院医療中心から地域生活中心へ」が示された。(注) 「障害者権利条約」とは,「障害者の権利に関する条約」のことである。
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✓ これが正解3諸外国と比べて精神科の入院医療を受けている者の割合が高く,入院期間も長期にわたっていた。
解説
入院医療の割合の高さと長期入院が、精神保健福祉士法成立の背景です。
この問は、精神保健福祉士法が1997年に成立した当時、どのような社会の課題があったかを問うものです。法律ができた時期と、各肢の出来事が起きた時期とを並べて判断します。
精神保健福祉士法が作られた背景には、日本では諸外国に比べて精神科病院に入院している人の割合が高く、入院期間も非常に長いという状況がありました。病状が落ち着いていても、退院後の住まいや支援がないために入院を続けざるを得ない、いわゆる社会的入院が大きな課題となっていました。こうした人の社会復帰を進めるため、精神科医療の場や地域で相談援助を担う専門職を国家資格として位置付けることが求められ、精神保健福祉士が誕生しました。
ほかの肢は、いずれも法律の成立より後の出来事です。年間自殺者が3万人を超えたのは1998年から、精神保健医療福祉の改革ビジョンは2004年、災害派遣精神医療チームの仕組みは2013年ごろ、障害者権利条約の批准は2014年です。
覚え方は、精神保健福祉士は長期入院の人の社会復帰を支える専門職として生まれた、と資格の出発点を押さえることです。時期の前後を確かめれば、後の出来事は背景から外せます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1年間自殺者が3万人を超え続け,国民のメン…:自殺で亡くなる人が毎年3万人を上回る状態が始まったのは1998年です。資格の法律ができた翌年以降の出来事なので、成立を後押しした事情とはいえません。
- 2頻発する自然災害に対し,災害派遣精神医療…:災害派遣精神医療チームの仕組みは、東日本大震災の経験を踏まえて2013年ごろに整えられたもので、資格制度ができた1997年より後のことです。成立の背景には当たりません。
- 4「障害者権利条約」を批准するため,国内法…:日本が障害者権利条約を批准したのは2014年で、そのための国内法の整備も2010年代に行われました。1997年の精神保健福祉士法の成立とは時期が離れています。
- 5「精神保健医療福祉の改革ビジョン」におい…:入院医療中心から地域生活中心へという方針を示した改革ビジョンは2004年にまとめられたもので、精神保健福祉士法の成立より後です。背景としては順序が逆になります。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題23。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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