第26回 問題11
現代の精神保健の課題と支援
次のうち,国際生活機能分類(ICF)でいう心身機能の改善に焦点を当てたものとして,正しいものを1つ選びなさい。
- 1統合失調症患者の家族への心理教育
- 2うつ病患者への薬物療法
- 3高次脳機能障害の人にも使い方が分かりやすい道具の開発研究
- 4認知症の人が生活しやすいグループホームの在り方の研究
- 5偏見をもたずに精神障害者を雇用する職場を増やす啓発活動
答えと解説を見る
✓ これが正解2うつ病患者への薬物療法
解説
うつ病への薬物療法は、症状という心身機能に直接働きかけます。
国際生活機能分類(ICF)は、2001年にWHOが採択した、生活機能と障害を捉えるための枠組みです。生活機能を心身機能・身体構造、活動、参加の3つのレベルで捉え、それらに環境因子と個人因子が影響し合うと考えます。各記述が、本人の体や心の働きそのものの改善を狙っているのか、本人を取り巻く環境の側を変えようとしているのかで判断します。
心身機能とは、精神機能を含む身体の生理的な働きのことです。うつ病患者への薬物療法は、気分の落ち込みや意欲の低下といった精神機能の症状を直接改善しようとするものなので、心身機能の改善に焦点を当てた例にあたります。
他の記述はいずれも、本人を取り巻く環境因子に働きかけるものです。家族への心理教育は周囲の人の理解や関わり、使いやすい道具の開発は生産品や用具、グループホームの在り方は住まいやサービス、雇用を増やす啓発は社会の態度にあたり、心身機能そのものを対象にしてはいません。
見分け方として、ICFの問では、働きかけの対象が本人の体や心の働きか、本人以外の人・物・制度・態度かを先に分けると、心身機能と環境因子を取り違えにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1統合失調症患者の家族への心理教育:家族への心理教育は、家族が病気の知識や対応の仕方を学び、本人を支える環境を整えるための働きかけです。ICFでは本人を取り巻く人々の支援や態度として、環境因子の側にあたります。
- 3高次脳機能障害の人にも使い方が分かりやすい道具の開発研究:使い方が分かりやすい道具の開発は、本人の脳の機能を回復させるのではなく、本人が使う生産品や用具を変える取り組みです。ICFの整理では環境因子への働きかけにあたります。
- 4認知症の人が生活しやすいグループホームの在り方の研究:グループホームの在り方の研究は、住まいやサービスの形を本人に合わせて整えるもので、環境因子への働きかけです。認知症の症状そのものを改善する心身機能への焦点とは異なります。
- 5偏見をもたずに精神障害者を雇用する職場を増やす啓発活動:雇用する職場を増やす啓発活動は、社会の人々の態度や雇用の仕組みに働きかけるもので、環境因子の改善にあたります。参加の機会を広げる効果はあっても、心身機能を直接改善するものではありません。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題11。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)