第61回 午前 問78
臨床医学
転移で誤っているのはどれか。
- 1転移は逆転移を誘発する。
- 2転移は行動化の原因となる。
- 3心理治療の目的は陽性転移の出現である。
- 4転移の解釈は患者の葛藤を解消する手段となる。
- 5患者が好意を治療者に向けるのは陽性転移である。
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✓ これが正解3心理治療の目的は陽性転移の出現である。
解説
心理治療の目的は陽性転移を出すことではありません。
転移とは、患者が、過去に親など大切な人に抱いた感情や態度を、治療者に向けてしまう現象です。好意や信頼のような感情を向けるものを陽性転移、敵意や反発のような感情を向けるものを陰性転移といいます。精神分析を中心とした心理治療で重視される考え方です。
心理治療の目的は、患者が抱えている心の葛藤を理解し、それを和らげて、より適応的に生活できるようにすることです。転移はその過程で起こる現象の一つであり、治療者は転移を手がかりに患者の心の動きを理解します。陽性転移を起こさせること自体が目的ではありません。ほかの肢は、転移が治療者の感情を引き起こすこと、行動に現れること、解釈が葛藤の解消に役立つこと、陽性転移の定義を述べており、いずれも正しい内容です。
したがって、誤っているのは、心理治療の目的は陽性転移の出現である、という記述です。転移は治療の目的ではなく、理解の手がかり、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1転移は逆転移を誘発する。:患者から転移の感情を向けられると、治療者の側にも、患者に対する個人的な感情が生じることがあります。これを逆転移といい、転移が逆転移を誘発するという記述は正しい内容です。
- 2転移は行動化の原因となる。:転移で生じた感情は、言葉で表されずに、治療の場での行動として現れることがあります。これを行動化といい、転移が行動化の原因となるという記述は正しい内容です。
- 4転移の解釈は患者の葛藤を解消する手段となる。:治療者が転移の意味を患者と一緒に考え、言葉にして返すことを解釈といいます。解釈を通じて患者は自分の心の動きに気付き、葛藤を和らげていくので、正しい記述です。
- 5患者が好意を治療者に向けるのは陽性転移である。:患者が治療者に好意や信頼、尊敬などの肯定的な感情を向けることを陽性転移といいます。定義どおりの正しい記述で、誤りを選ぶこの問の答えにはなりません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問78(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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