令和6年度 問18
建物・設備
鉄筋コンクリート造のマンションのコンクリート壁の劣化の補修に関する次の記述のうち、「建築保全標準・同解説 JAMS 4-RC 補修・改修設計規準」(一般社団法人 日本建築学会)によれば、最も不適切なものはどれか。
- 1コンクリートの乾燥収縮による幅0.3mm程度の挙動のあるひび割れ先行型劣化の補修に、Uカットシール材充填工法を選定した。
- 2コンクリートのコールドジョイントによる幅0.2mm未満の、挙動のないひび割れ先行型劣化の補修に、シール工法を選定した。
- 3中性化により発生した、鉄筋の腐食に伴うコンクリートの浮きに対し、断面修復による工法を選定した。
- 4塩害によりコンクリートが浮きかかって生じたひび割れに対し、樹脂注入工法を選定した。
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✓ これが正解4塩害によりコンクリートが浮きかかって生じたひび割れに対し、樹脂注入工法を選定した。
解説
塩害による浮きには、樹脂注入ではなく断面修復などの工法を選びます。
本問は、鉄筋コンクリート造の壁の劣化に対して、劣化の原因と状態に合った補修工法を選べているかを、日本建築学会の補修・改修設計規準(JAMS 4-RC)に照らして判断する問です。ひび割れが先に生じるタイプの劣化と、鉄筋の腐食が原因で浮きが生じるタイプの劣化を分けて考えるのがポイントです。
塩害は、コンクリート中の塩化物イオンによって鉄筋が腐食し、さびの膨張でコンクリートが押し出されて浮きやひび割れが生じる劣化です。樹脂注入工法は、ひび割れに樹脂を注入してふさぐ工法なので、浮きの原因である鉄筋の腐食や塩化物は残ったままになります。鉄筋腐食に伴う浮きには、劣化したコンクリートを除去して鉄筋の防錆処理を行い、断面を修復する工法を選ぶのが基本とされています。塩害による浮きに樹脂注入工法を選んだ記述が不適切で、これが答えです。
一方、乾燥収縮やコールドジョイントによるひび割れ先行型の劣化では、ひび割れの幅と挙動の有無で工法を選びます。挙動のあるひび割れには伸び縮みに追従できる材料を使う工法、挙動がなく幅の小さいひび割れには表面を覆う工法が向いています。中性化による鉄筋腐食に伴う浮きに断面修復を選ぶのも、原因に合った選定です。
見分け方としては、ひび割れはふさぐ、鉄筋のさびによる浮きは取り除いて直す、と劣化の原因で工法を分けて覚えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1コンクリートの乾燥収縮による幅0.3mm程度の挙動のあるひび割れ先行型劣化の補修に、Uカットシール材充填工法を選定した。:乾燥収縮による幅0.3mm程度で挙動のあるひび割れは、ひび割れに沿って溝を設け、伸び縮みに追従できるシール材を充填するUカットシール材充填工法の対象とされます。記述の選定は適切です。
- 2コンクリートのコールドジョイントによる幅0.2mm未満の、挙動のないひび割れ先行型劣化の補修に、シール工法を選定した。:コールドジョイントによる幅0.2mm未満で挙動のないひび割れは、表面をシール材で覆うシール工法で補修できる範囲とされます。幅が小さく動かないひび割れなので、記述の選定は適切です。
- 3中性化により発生した、鉄筋の腐食に伴うコンクリートの浮きに対し、断面修復による工法を選定した。:中性化で鉄筋が腐食して生じたコンクリートの浮きは、劣化部分を取り除き、鉄筋の防錆処理をして断面を戻す断面修復工法で補修するのが原因に合った方法です。記述の選定は適切です。
出典:令和6年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問18
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