第114回 午前 問82
疾病の成り立ちと回復の促進
抗利尿ホルモンに関する問題
口渇、多飲、多尿を主訴とする患者が、夜間の排尿が頻回で不眠を訴えている。1 日の尿量は5 L ほどで、尿比重は1.005、尿浸透圧は110 mOsm/kg であった。
この症状の原因と考えられるホルモンの内分泌器官はどれか。
- 1下垂体後葉
- 2甲状腺
- 3膵臓
- 4副甲状腺
- 5副腎
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✓ これが正解1下垂体後葉
解説
薄い尿が大量に出る多尿は、下垂体後葉の抗利尿ホルモンの不足が原因です。
多尿の原因は、尿の比重や浸透圧で見分けます。設問の患者は1日5 Lほどの尿が出ており、尿比重1.005、尿浸透圧110 mOsm/kgと、とても薄い尿です。尿に糖などの溶けたものが多く出て水を引っ張る多尿であれば、尿の比重は高くなります。薄い尿が大量に出ているのは、腎臓で水を体に戻せていない状態を示しています。
腎臓の集合管で水の再吸収を促すのは抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン)です。ADHは視床下部でつくられ、下垂体後葉にたくわえられて血中に分泌されます。ADHの分泌が不足すると、水が再吸収されずに薄い尿が大量に出て、のどが渇いて多く飲むようになります。これが中枢性尿崩症で、原因となるホルモンの内分泌器官は下垂体後葉です。
薄い尿が大量に出る=水を戻すホルモン(ADH)の不足=下垂体後葉、とつなげ、比重が高い多尿(糖尿病など)と区別して覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2甲状腺:甲状腺のホルモンは、全身の代謝を高める働きをもちます。亢進すると動悸や体重減少などが起こりますが、比重の低い尿が大量に出る多尿の直接の原因となるホルモンではありません。
- 3膵臓:膵臓のインスリンが不足する糖尿病でも多尿や口渇が起こりますが、尿に糖が多く出て水を引っ張る多尿のため、尿比重は高くなります。比重1.005の薄い尿とは合いません。
- 4副甲状腺:副甲状腺のホルモンは、血液中のカルシウム濃度を調節します。尿を濃縮して水を体に戻す働きを担うホルモンではなく、本問の薄い尿が大量に出る原因の器官とはいえません。
- 5副腎:副腎は、アルドステロンやコルチゾールなど、塩分や糖の代謝、ストレスへの反応に関わるホルモンを分泌します。集合管で水を再吸収させる中心のホルモンは下垂体後葉から出ます。
出典:第114回 看護師国家試験 午前(厚生労働省)問82(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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