第112回 午前 問32
保健統計学
薬剤Aが薬剤Bと比較して高頻度に肝機能障害を起こすかどうか、データベースを用いて評価した。統計的仮説検定およびその解釈として正しいのはどれか。
- 1p値は肝機能障害発症確率のことである。
- 2有意水準は統計的仮説検定を実施した後で決める。
- 3対立仮説は「薬剤Aと薬剤Bの肝機能障害発症頻度に差はない」である。
- 4有意水準より大きなp値が得られた場合、薬剤Aと薬剤Bの肝機能障害発症頻度が同程度であると示されたことにはならない。
- 5有意水準より小さなp値が得られた場合、分析に用いた人数によらず薬剤Aは薬剤Bと比較して高頻度に肝機能障害を引き起こすと判断する。
答えと解説を見る
✓ これが正解4有意水準より大きなp値が得られた場合、薬剤Aと薬剤Bの肝機能障害発症頻度が同程度であると示されたことにはならない。
解説
有意差なしは、同程度であることの証明にはなりません。
統計的仮説検定では、まず差がないという帰無仮説を立て、帰無仮説が正しいと仮定したときに、実際に得られた結果以上に極端な結果が起こる確率をp値として求めます。p値があらかじめ決めた有意水準より小さければ、帰無仮説を棄却して差があると判断します。有意水準より大きければ、帰無仮説を棄却できないという結論にとどまります。
帰無仮説を棄却できないことは、差がないことが示されたことを意味しません。対象者の数が少なかったり、ばらつきが大きかったりして、本当はある差を検出できなかった可能性もあるからです。そのため、有意水準より大きなp値が得られても、薬剤Aと薬剤Bの肝機能障害の発症頻度が同程度だと示されたことにはなりません。この記述は検定の解釈として正しいものです。
したがって、有意でないことは差がない証明にならないという記述が正しいものです。有意差なしは判断を保留する結果、と覚えておくと解釈を誤りにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1p値は肝機能障害発症確率のことである。:p値は、帰無仮説が正しいと仮定したときに、得られた結果以上に極端な結果が起こる確率です。肝機能障害が起こる確率そのものを表しているわけではありません。
- 2有意水準は統計的仮説検定を実施した後で決…:有意水準は、検定を行う前にあらかじめ決めておくものです。結果を見た後で決めると、都合のよい結論を選べてしまい、検定の判断として成り立ちません。
- 3対立仮説は「薬剤Aと薬剤Bの肝機能障害発…:差はないという内容は、検定で棄却するかどうかを判断する帰無仮説にあたります。対立仮説は、薬剤Aのほうが高頻度である、または差がある、という内容になります。
- 5有意水準より小さなp値が得られた場合、分…:対象者がとても多いと、臨床的に意味のない小さな差でもp値は小さくなります。p値だけで判断せず、差の大きさや対象者の数もあわせて解釈する必要があり、人数によらず判断するのは誤りです。
出典:第112回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問32(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)