第110回 午後 問44
個人・家族・集団・組織の支援
アルコール依存症に関する問題
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、無職)は1年前に職を失ってから飲酒量が増え、半年前には多量飲酒で意識消失し大学病院に救急搬送され、アルコール依存症が疑われたが、治療にはつながらなかった。警察署から、B町の保健師に「B町に住むAさんが泥酔して公園で寝ていたところを保護している。保護したのはこの半年で3回目だ。Aさんは1人暮らしだが、B町に姉のCさんがいるので、Cさんに迎えに来てもらっていた。今回はCさんに連絡がとれないので、保健師の支援をお願いできないか。保健師に連絡することは本人が同意している」と連絡があった。保健師は、住民基本台帳でAさんとCさんがB町に居住していることを確認した。
保健師は上司に報告および相談し、警察署にAさんを迎えに行き、Aさんの自宅で面接することになった。
保健師が翌日に再度訪問すると、Aさんは「お酒をやめられず、どうしていいかわからない」と話したため、Aさんはアルコール依存症の治療プログラムを受ける目的で入院した。退院が近づき、Aさん、Cさん、医師、受持ち看護師、保健師でカンファレンスを行った。Aさんは「1人暮らしで、誰とも話さずに家でじっとしているとお酒を飲んでしまいそう」と話した。
退院後2週、保健師はAさんの受診継続や断酒状況を確認するため、Aさんの自宅を訪問した。その際、Cさんからも話を聞くため、同席を依頼した。Cさんは「妹は通院していますが飲酒は続いています。お金に困っているのにお酒を飲むのをやめられず、妹もつらいようで、私がアルコール度数の低いお酒を買って届けています」と話した。
保健師のCさんへの助言で適切なのはどれか。
- 1「Aさんの趣味を探しましょう」
- 2「同居してAさんが飲酒しないよう見守りましょう」
- 3「Aさんにお金がないという現実に向き合ってもらいましょう」
- 4「Aさんの飲酒に関する困りごとを代わりに解決しないようにしましょう」
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✓ これが正解4「Aさんの飲酒に関する困りごとを代わりに解決しないようにしましょう」
解説
家族が飲酒の困りごとを肩代わりしないよう助言します。
アルコール依存症の家族支援では、家族が本人の飲酒の後始末や困りごとの肩代わりをすることが、かえって飲酒を続けやすくしてしまう点に注目します。このような家族の関わりはイネイブリング(飲酒を可能にしてしまう行動)と呼ばれ、家族自身も疲れ果ててしまうことが少なくありません。
姉のCさんは、お金に困っているのに飲酒をやめられない妹を見かねて、アルコール度数の低いお酒を買って届けています。決め手は、善意からの行動が、本人が飲酒の結果に向き合う機会を奪い、飲酒を支える形になっている点です。保健師は、Cさんの気持ちを受け止めたうえで、飲酒に関する困りごとを代わりに解決しないよう助言します。本人が自分の問題として飲酒の影響に気付くことが、治療を続ける動機につながるからです。したがって、困りごとを代わりに解決しないようにしましょうという助言が適切です。趣味探しは焦点がずれており、同居して見守るのはCさんの負担を大きくし、言葉で現実に向き合わせようとすると対立を招きやすくなります。
家族への助言は、家族が本人の問題を背負い込まない関わり方を支えているかどうかで見分けられます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「Aさんの趣味を探しましょう」:趣味を探すことは生活の幅を広げる工夫にはなりますが、Cさんがお酒を買って届けているという今の問題には触れていません。飲酒を支えてしまっている関わりを見直す助言のほうが先に必要です。
- 2「同居してAさんが飲酒しないよう見守りましょう」:同居して飲まないように見張ることは、Cさんの負担を大きくし、家族が本人の飲酒を管理し続ける関係を強めてしまいます。断酒は本人が自ら取り組むもので、家族の監視で支えるものではありません。
- 3「Aさんにお金がないという現実に向き合ってもらいましょう」:家族が言葉で説き伏せて現実に向き合わせようとすると、言い争いや隠れて飲む行動を招きやすくなります。大切なのは家族が肩代わりをやめることで、本人が自分で問題に気付く流れをつくることです。
出典:第110回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問44(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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